研究課題
本プロジェクトでは、時価会計制度に注目し、理論と実験から研究を行った。理論研究では、金融市場の流動性ショックが時価会計制度により拡大し、特に流動性ショックに備えていた銀行にも波及し、経営破綻に追い込まれることを示した。実験研究では、会計情報の開示とその認識の違い、および被験者の将来期待と行動の影響を検証する実験を行った。より具体的には以下の二つの実験計画を実行した。(a)被験者に開示される将来の資産価値(ファンダメンタルズ)の情報が、被験者ごとに異なり、そのことを被験者が知っている際に、被験者はどのように戦略的行動を計画するか。(b)被験者に取引直前に将来の取引価格を予測してもらうことで、実際の取引量や取引価格にどのように影響するかを考察した。この結果(a)の実験では、(i) 多くの情報を保有している被験者が必ずしも高い利得を得るとは限らない。(ii)高い利得を得ている被験者は、情報の優位性を利用し、戦略的な行動計画を容易に、また的確に行動をした結果である。また(b)の実験では、価格予測を行う際、仮に価格予測に強いインセンティブを与えても、価格予測を行わない実験との被験者の取引行動の差異は見られなかった。しかし一度、価格予測に関して被験者にインセンティブが与えられると、インセンティブの強弱が被験者の行動に違いを与えることが示された。この結果から被験者の将来価格の期待と行動は被験者に与えられるインセンティブスキームの強弱で行動の変化が生じることが示された。
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Economic Journal
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Working Papers: Groupe de REcherche en Droit, Economie, Gestion (GREDEG CNRS), University of Nice Sophia Antipolis
巻: 2016-02 ページ: -
巻: 2015-29 ページ: -