研究課題/領域番号 |
26590033
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
高篠 仁奈 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (80507145)
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研究分担者 |
福井 清一 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (90134197)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 農業経済学 |
研究実績の概要 |
中西部アフリカでは、政府のコメの増産努力にもかかわらず、国内生産は都市部における需要増加に追い付かず、輸入が急増している。本研究は、カメルーンの陸稲を対象に、優良種子生産・流通態勢やポスト・ハーベスト施設の改善がコメの品質改善、需要の増加におよぼす影響を明らかにすることを目的とする。その際、調理方法を考慮に入れた実験オークションの手法を援用し、消費者支払い意志額の推計と、各種ポスト・ハーベスト施設への投資費用の比較を行うことにより、カメルーンの現状に適した生産流通技術とは何かを検討する. 当初の計画では、平成26年度にはカメルーンの首都ヤウンデと商業都市ドゥアラを中心としたコメのバリュー・チェーンに関する予備調査を実施する予定であったが、支給額の削減により調査費(渡航費、調査補助謝金、車両レンタル代などを含む)の捻出が不可能になったため計画を見直し、次年度のフィールドワークに、26年度、27年度の予算を全額投入することとし、今年度は文献での事前調査等、経費の発生しない研究活動を実施した。 文献調査では、カメルーン以外の国も含め、コメ消費の川下から川上に至るまでの各流通段階に関する先行研究に加え、取引主体間のネットワーク、国内産米の種子供給システム、脱穀・調整・貯蔵・精米施設などのポスト・ハーベスト機器・設備に関する研究を中心に情報収集を進めた。また、データ分析の際に必要となる実験オークションの手法と消費者支払い意志額の推計については、共同研究者とともに、使用する研究手法に精通した国内の専門家と研究打合せを重ね意見交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた予備調査が実施できなくなったため、調査対象地でのコメ消費の各流通段階に関する情報や、取引主体間のネットワーク、種子供給システム、ポスト・ハーベスト機器・設備に関する情報収集が遅れているが、文献調査により準備を進めており、平成27年度に予定している本調査には支障はなく、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、カメルーンの大都市中央市場において、2~3 週間かけてコメの実験オークションを実施する。この実験では、10 人一組の被験者(女性)を各都市で無作為に抽出し、リスク・ゲームと実験オークションへの参加を依頼する。実験を開始する前に、被験者のリスク態度を計測する目的と、参加報酬(固定額)による感応性の低下を防ぐ目的で、リスク・ゲームに参加してもらう。そこで得た報酬を元手にオークションに参加し、準備した4種類のコメに、調理方法ごとに付け値を行い購入してもらう方法で、輸入米と3種類の国産米に対する支払意志額を測定する。また、実験オークション終了後、被験者の個人特性(年齢、教育水準、職業、出身地)、家計特性(家計所得、資産、家族数,子供の数、家政婦か否か等)について聞き取り調査を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
交付決定額が申請額より大幅な減額となったため、平成27年度に予定していた現地調査をとりやめた。平成27年度の本調査に今年度と翌年度の予算を全額投入して実施することとし、今年度は文献調査など経費の発生しない研究活動を実施した。そのため、初年度の調査で使用する予定であった旅費や車両レンタル代と、予備調査のデータ入力などで使用する予定であった謝金を翌年度に使用することとなったため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度には、カメルーンにおける本調査を実施する。そのため、次年度使用額も含めて、主に現地調査のための旅費や、調査運営補助などの謝金、データ入力および資料整理への謝金に使用する。
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