研究課題/領域番号 |
26590036
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
浅見 泰司 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10192949)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 不動産 / 登記 / 画地 / 情報整備 / 市場 / 取引 / 価値 / 精度 |
研究実績の概要 |
東京都文京区の不動産登記情報に、地理情報を付加して整備のうえ、不動産データベースを構築し登記発生確率モデルの基礎的考察を行った。文京区内の土地約54,000筆のうち、2010年6月から2011年7月までの不動産登記の件数は約6%になる。この中では、売買による登記、抵当権設定の登記、相続や法人合併による登記が卓越して多く、画地分筆や合筆による登記は約0.4%と少ない。登記全体の傾向として、筆全体よりも駅に近い画地での発生頻度が高く、過半が住居系地域で発生していることが判明した。さらに、登記の発生時期を四半期毎に見た場合、特出した傾向は見られないことが判明した。 また、登記の種類ごとに以下の傾向が見られることが判明した。売買登記では、駅距離が100m近くなれば、登記発生確率が1.1倍高くなる可能性があり、道路幅員が5.5m以上13m未満であれば、登記発生確率は1.2倍高くなる可能性がある。贈与遺贈登記では、住居系地域内(用途地域が1低専、2低専、1中専、2中専、1住居または2住居内にある場合。以下同じ。)であれば、発生確率が1.7倍高くなる可能性がある。抵当権登記では、最寄駅までの距離が変化しても、発生確率に変化は無いと考えられるが、住居系地域内にあれば、そうでない場合に比べて発生確率が1.3倍高くなる可能性がある。分筆登記では、住居系地域内にあれば、そうでない場合に比べて発生確率が2倍高くなる可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
理由 データベースを整備できただけでなく、登記発生確率に関する比較分析も行うことができたため。
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今後の研究の推進方策 |
不動産情報のデータベースおよび登記発生確率モデルをもとに、実際に確率関数の推定作業を行う。また、登記情報だけで市街地全体を網羅するにはかなりの時間がかかるため、戦略的に地籍測量を行うべき地区を選ぶ手法についても合わせて検討する。 また、公図の地理情報をもとに、新たに登記情報が上がってきた時の更新手法を、シミュレーションする。この際、航空写真で補正した住宅地図情報を教師データとして分析することで、有効性を明確にすることができる。
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次年度使用額が生じた理由 |
データベースの整備について、当初予定していた費用よりも安価で整備できた。それにより残高が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
今後、分析等で当初より人件費がかかる見込みなので、残高分はそれに充当する予定である。
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