研究課題/領域番号 |
26590036
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
浅見 泰司 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10192949)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 不動産 / 登記 / 地理情報 / 画地 / 発生確率 / 売買 / 用途地域 / 賃貸 |
研究実績の概要 |
東京都文京区の不動産データベースを構築し登記発生確率モデルの基礎的考察を行った。町丁目ごとの特性を明らかにするため54,000筆の画地データを、文京区の町丁目数68の町丁目へ集計し整理のうえ、新たにロジステック回帰分析を行った。また、文京区の都市計画マスタープランで示されている地区ダミー(5区分)を投入した。通常の一般化線形モデルに加え、町丁目ごとの個別性を反映できる一般化線形混合モデルも併せて実施した。その結果、通常の一般化線形モデルでは、登記の種類ごとに以下の傾向が見られた。(1)売買登記では、筆数が多いほど売買登記は発生しやすく、筆数が50多ければ、1.05倍売買登記が発生しやすくなる。また、町丁目が下町にあると売買登記の発生確率は4割減少する。(2)相続法人登記では、集合住宅の土地一筆当たりの戸数が増えると、発生する確率は64倍高くなる。相続登記が行われる際には、相続対策としての賃貸アパート、賃貸マンションが建てられていることが原因と考えられる。(3)贈与遺贈登記では、道路の幅員が13m以上であれば、発生確率が若干小さくなる可能性がある。(4)抵当権登記では、下町隣接ダミーで発生確率が3割低くなる。抵当権は売買に伴って登記されることが多い実態を反映していると考えられる。(5)分筆登記では、非木造建物の1筆土地当たりの戸数が増えると、発生確率は約9倍になる。(6)合筆登記では、前面道路幅員が5.5m~13mの範囲にあると、発生確率が若干低くなる。 町丁目ごとの個別性を反映した一般化線形混合モデルでは、通常の一般化線形モデルの結果と比べ、登記の種類ごとの傾向に顕著な変化はみられないが、売買、相続法人、抵当権の各登記ではAICが改善され予測の精度が高まっているのに対し、贈与遺贈、分筆及び合筆の各登記ではAICは逆に悪化し、発生回数の少ない登記で複雑なモデルを使うことは予測の精度が低くなる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
不動産データベースの整備は完了し、登記の発生確率について分析を行っているため。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は、前年度の分析をさらに精緻化するとともに、研究の取りまとめを行い、国内外の学会において、その成果を発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究費の使用の節約に努めた結果、前年度からの残額分だけがほぼ次年度使用にまわることとなった。
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次年度使用額の使用計画 |
最終年度である次年度は、研究成果の発表や論文投稿、報告書作成などのために支出が増える予定であり、それに充当する予定である。
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備考 |
研究業績リストなどを記載
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