長距離フェリー航路,フェリー運賃,港湾政策,次世代自動車産業,環境技術,経済評価モデルに関する文献,資料を収集した.我が国の長距離フェリー航路の現況と課題について調査を行った.都市間を長距離フェリー航路と高速道路を利用して従来型自動車と電気自動車で移動する場合の時間費用と金銭的費用の推計を行った. 交通モデルを用いて,我が国のすべての長距離フェリー航路を対象として,陸上から海上へのモーダルシフト率を推計し,全国の平均モーダルシフト率を求めた.電気自動車と電気トラックについて,モーダルシフト率を導出し,両者の比較を行った.電気乗用車よりも電気トラックの方が,陸上から海上輸送へのモーダルシフトをもたらす可能性が高いことが示された.この分析をもとにして,愛知県三河港を対象としてフェリーが運航された状況を想定して,モーダルシフトの可能性を検討した。陸上から海上へのモーダルシフトがもたらす港湾地域への経済効果を計測するためのシステムを開発し,三河港を対象として港湾周辺産業が地域経済にもたらす経済効果を計測した. 電気自動車とフェリーへのモーダルシフトが環境負荷削減に及ぼす影響を明らかにした.電気乗用車や電気トラックによるモーダルシフトは,CO2排出の削減にも大きく貢献することが示された.また,オンライン電気自動車技術が導入された場合の効果についても推計を行った.電気自動車の普及による陸上から海上へのモーダルシフトの可能性や港湾地域にもたらす経済効果を明らかにすることができた.フェリーや電気自動車への補助金政策の効果を分析可能とする方法を開発することができた. これらの研究成果については日本応用経済学会や国際会議等で報告を行った.
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