本研究の目的は、企業が直面する不確実性の実態及びそれが企業行動及び経済全体に及ぼす影響を、政府統計の個票データや独自の企業サーベイに基づいて解明することである。主な分析結果は次の通りである。①業況の先行き不確実性は投資に負の影響を持つ。②為替レートの不確実性は輸出に負の影響を持つ。③企業は社会保障、税制、財政支出、貿易政策の不確実性を意識している。④政策の不確実性は、設備投資、正社員の採用といった企業の意思決定に大きく影響している。⑤生産予測の不確実性は日本及び海外の政策の不確実性と関連している。⑥ミクロデータから構築した不確実性指標は、集計データから計測される指標よりも優れている。
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