研究課題/領域番号 |
26590045
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
安部 由起子 北海道大学, 公共政策学連携研究部, 教授 (50264742)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 女性就業 / 地域差 / 発展途上国 / 経済発展段階 / HIV |
研究実績の概要 |
本研究は、発展途上国における女性就業率の地域差を実証的に検討するものである。具体的には、(1)アフリカにおけるHIV感染と女性就業の関連の研究、(2)インフォーマルセクターでの就業と女性就業率の地域差の関連についての研究、(3)発展途上国での女性就業の実態を、日本を含む先進国の経済発展段階でのそれと比較する研究、を行なう。26年度には、(1)と(2)について、Demographics and Health Surveys (DHS)の、複数の国のデータの解析を開始した。特に、HIV感染との関連についてどのような分析が可能であるかについて、利用可能なデータに基づいて検討を行なった。さらに、(3)として、日本の経済発展段階での女性就業率の地域差について理解するために、歴史的データ(1930年から2010年までの国勢調査のデータ)、および、1982年から2012年までの就業構造基本調査のデータを分析した。その分析により、女性就業率の地域差は、過去70年の間に縮小したことを確認した。地域差縮小の原因として、産業構造の変化、人口構成(学歴・配偶関係・年齢の構成の変化)、非正規雇用の増加、に注目し、それぞれの影響の大きさを分析した。その結果、(1)長期的には農業の減少により女性就業率の地域差を縮小したこと、(2)1982年から2012年までについては、地域差の縮小のうち、人口構成の変化による影響が3分の1程度、残りは非正規雇用の増加によるものであることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)発展途上国である複数の国について、DHSのデータの分析を開始し、HIVと就業率との関連を確認する段階まで分析を進めた。 (2)日本の過去のデータを整備するとともに、その歴史的推移についての分析を行ない、それをワーキングペーパーにまとめた。 (3)フランス・米国のデータを分析し、女性就業の地域差の実態を把握した。 (4)女性就業の地域差を説明する理論モデルの構築に取り組んだ。
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今後の研究の推進方策 |
DHSデータの解析を進め、HIV感染と就業率の関係を明らかにする。さらに、HIV感染と、インフォーマルセクターでの就業とがどのように関連するのかを検討する。発展途上国についての研究については、内外の研究者から助言をいただく・意見交換を行なうなどして、研究の深化につとめる。日本についての研究については、論文を改訂し、専門誌に投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2015年3月(平成26年度末)の段階で、パーソナルコンピューターのどの機種を購入するかを、新規の機種も含めて鋭意検討していたが、購入の意思決定に至らずに年度末を過ぎた。2015年度4月中旬には、本研究に最適と思われる機種が決まったので、上記次年度使用額にほぼ同額であるその機種のパーソナルコンピューターを購入して納品が終了し、その後研究に使用している。
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次年度使用額の使用計画 |
パーソナルコンピューターの購入。
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