研究課題/領域番号 |
26590046
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
常木 淳 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (10207425)
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研究分担者 |
座主 祥伸 関西大学, 経済学部, 准教授 (40403216)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 法と経済学 / 進化ゲーム理論 / 所有権ルール / 損害賠償ルール / 法と経済発展 / 近代日本経済 / 担保 / 法と社会規範 |
研究実績の概要 |
本年は前年度より引き続き、進化ゲーム理論の適用により不法行為、ないし外部不経済の状況における所有権ルール、損害賠償ルールの法的構造の慣習法的基礎がどのように進化論的観点から位置付けられるかに関する理論的分析を推進した。全体の総括的な理論的結論として、加害者による所有権の侵犯があった場合、加害者と被害者の間においてどちらがその法的責任を多く負うべきかは、現実の被害額が、加害者の事前の注意水準にどの程度強く依存するか、また、物件所有者による財に対する価値増加への信頼投資がどの程度高い生産性を有するかに依存しており、具体的な賠償ルールや権利分配の構造は、これらの要因を考慮して決定されなければならないという規範的結論を得た。これらの知見は、これまで他の研究者が得られなかったものであり、理論的にも、法実践上の観点からも極めて本質的な重要性を有するものと言える。この理論分析の結論は、すでに確定済みであるが、論文としてディスカッション・ペーパーにまとめるのに時間を要しており、今年前半に公開の予定である。 法的権利構造の進化に関する研究として、上記の議論に関連付けて、担保の経済的効果に関する応用研究、国際比較研究も並行して進めており、また、日本の近代経済社会が発展する過程において、戦前日本の所有権法、不法行為法、家族法などの構造がどのような効果を果たしたかについても研究を進めており、こちらも今年中をめどとして、何らかの研究成果を提示することを目指している。
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