研究実績の概要 |
人的資本と賃金の差異については、これまで、関数型が半対数型であるために、企業単位で集計すると、労働者の数だけの非線形項が生じて、有効な計量分析が行えないという深刻な問題点があり、労働経済の発展の障害となってきていた。例えばLazear and Moore (1984)は賃金労働者の生産性を測定できず代わりに同年齢の自営業者の収入で代理し、Medoff and Abraham (1980)は生産性の代わりに人事評価結果を用い、Shaw and Lazear (2006)は個人の作業数量で代理した。Hellerstein et al. (1999), Crepon et al. (2002), Ilmakunnas et al. (2004)らは、労働者グループ間の相対生産性を計測したが、依然として賃金と生産性のギャップは測定不能であった。ここで確立した方法は、半対数型の賃金関数と、生産性関数の差異を定式化してから処理することで、人的資本関数と生産関数を、容易に一体化させることができる点で画期的である。 この人的資本と賃金の差異の計測についての理論的研究については、国際学会において発表を行った。 "A New Method to Measure the Gap between Wage and Productivity", Western Economic Association International 11th International Conference being held 8-11 January, 2015, in Wellington, New Zealand. また、データ分析を進展させるためのモデル設計を行った。データ個票申請については、具体的モデルや集計表の形式を先に決定することで、申請後の分析作業の効率化を図ることとした。
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