研究課題/領域番号 |
26590054
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
塩谷 昌史 東北大学, 東北アジア研究センター, 助教 (70312684)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ロシア / 内務省 / 統計制度 / 情報 / 統治 / 中央統計委員会 |
研究実績の概要 |
平成28年2月~3月にかけてサンクト・ペテルブルクに滞在し、ロシア国立図書館とロシア国立公文書館で内務省関連の資料を閲覧した。ロシア国立図書館では、内務省が刊行した新聞『北の郵便』(1862年~1868年)、雑誌『内務省』(1829年~1861年)を閲覧し、重要な箇所をデジタル・ファイルに変換し、日本に持ち帰った。ロシア国立図書館では、さらに内務省の新聞『一時的な政府通報』(1869年~1917年)を閲覧しようとしたが、時間が足らなかった。 ロシア国立公文書館では、内務省の中央統計委員会の文書(フォンド1290)が存在することを知った。これは1812年~1918年までの膨大な文書が保存されており、9種類に分けられている。ロシアの統計制度の発展史を理解するには、非常に貴重な文書が存在することがわかった。これまでロシアの文書館では、文書を予約してから3日後に閲覧できるシステムであったが、現在では、日本からインターネットで予約することが可能となっているため、十分に下調べをして、2週間程度の時間を取れば効果的に公文書館での文書の閲覧が可能だと思われる。 今回、ロシアの統計制度の資料を閲覧する中で、ロシアの内務省の組織が、戦前の日本の内務省の機構と極めて類似していることに気付いた。戦前の日本でも、国家の体系的な統計整備は内務省が担っていた。このことを踏まえれば、日露の内務省を比較することにより、統計制度の発展の違いに着目した比較研究が十分成立する。近い将来、統計制度を巡る日露比較の研究に取り組みたい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
家庭の諸事情で、平成26年度にロシア(サンクト・ペテルブルク)に滞在して資料収集ができなかったため、計画より進捗が一年程遅れることになった。しかし、その遅れについては、研究期間を当初の2年間から、1年延長していただき、遅れている部分は、平成28年度にロシア(サンクト・ペテルブルク)に滞在し、資料を閲覧することで、遅れを取り戻す予定である。とりわけ、平成28年2月に閲覧できなかった、内務省の新聞『一時的な政府通報』(1869年~1917年)の閲覧に尽力したい。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度については、2月~3月にかけてロシア(サンクト・ペテルブルク)に滞在し、ロシア国立図書館で『一時的な政府通報』(1869年~1917年)の全機関の閲覧に努める。19世紀前半におけるロシア内務省の統計整備状況については、ほぼ調査を終えたので、今年度は19世紀後半からロシア革命直前までの統計整備状況について調査する。 平成28年2月に資料閲覧を行った成果については、今年度に論文にまとめ、学術雑誌に投稿する予定である。 日露の内務省(中央統計委員会)の比較史の可能性についても、年度内に検討を続けたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初は平成26年~27年度の2年間で研究遂行を計画していたが、家族の諸事情のため、平成26年度にロシア(サンクト・ペテルブルク)に滞在し、研究課題に関する資料閲覧ができなかった。そのため、研究計画に約1年間の遅れが生じたが、28年度に一年間研究を延長することを認めていただいた。平成28年度に遅れている研究を実施し、遅れを挽回する予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
年度内の2月頃に3週間ほどロシア(サンクト・ペテルブルク)に滞在し、ロシア国立図書館で、ロシア内務省が刊行した新聞『一時的な政府通報』(1869年~1918年)を閲覧する予定である。次年度の使用額は、主に旅費に使用する。
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