研究課題/領域番号 |
26590055
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研究機関 | 南山大学 |
研究代表者 |
岡部 桂史 南山大学, 経営学部, 准教授 (60386472)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 総合商社 / アジア間貿易 / 環太平洋貿易 / オランダ / インドネシア |
研究実績の概要 |
本年度は、本研究の主軸となるオランダ領東インドに進出した日本企業に関する国内外の資料調査を実施した。まずオランダ調査では、オランダ国立公文書館所蔵の「オランダ軍情報局資料(NEFIS資料)」・「蘭領東インド総督府文書」を閲覧し、戦前・戦中期の日本企業の資料を撮影した。また、現地の研究協力者の紹介によりオランダ戦争資料研究所(NIOD)での資料調査を実施し、戦時期の日本企業の資料状況について専門アーキビストより説明を受けることができた。国内では、オランダ領東インドに関する関係資料、旧高等商業学校の植民地関係資料の調査を実施した。本年度の資料調査から明らかになったのは、次の2点である。第一に、オランダ国立公文書館所蔵の資料から、オランダ領東インドにおける三井物産、三菱商事等の日本商社の活動実態が判明した。現地日本商社は、戦時期において軍政の一端を担いつつ、多様な商品の取引に従事していた。第二はアジア地域の貿易におけるオランダ領東インドの位置づけである。20世紀に入り、世界貿易は質・量の側面で大きく伸張した。先行研究が指摘するように、1920年代以降に世界貿易が停滞する一方で、アジア域内貿易は拡大する。こうした状況下で、当該地域は、アジア-日本-アメリカ-豪州の結節点として、地理的な重要性を高めていく。その中で大きな役割を果たしたのが、日本企業であり、とりわけ日本商社の役割は大きく、本研究の一次資料からは、海運や雑貨、石油、綿工業などでアジア域内だけでなく、アメリカや豪州との取引関係を構築していった点が実証的に明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の課題は、20世紀におけるアジア地域の発展について、とくにオランダ領東インドを事例にミクロレベルで解明・把握することにある。したがって、両大戦間期から戦時期までのオランダ領東インドにおける日本企業の進出・定着過程を実証する一次資料が鍵を握っているが、本年度は、在オランダの研究協力者の助力を得て、オランダ国立公文書館およびオランダ戦争資料研究所(NIOD)の資料調査を実施することができた。初年度に研究開始時点の懸念であった日本企業に関する一次資料について、ある程度の見通しが立ち、資料調査は順調に進展しているといえる。また研究成果についても、2015年度にWEHC2015(世界経済史会議)で報告することが決定し、国内外の研究者から中間的な研究評価を得る予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2015年度は、2014年度の研究計画を踏襲し、インドネシア文書館とオランダ国立公文書館の資料調査に全力を注ぎ、年度内に2回の海外調査を実施する予定である。とくに2015年度は、インドネシアの資料調査で具体的な成果を挙げたいと考えており、現地の研究協力者との調整も含めて、早期に具体的な資料調査計画を立案したい。また国内の資料調査も随時精力的に進めるとともに、学会地方部会や研究会での中間的な報告を行い、他の専門研究者の批判・コメントを受けて、研究方法・方向性を深める。
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次年度使用額が生じた理由 |
本務校変更のため、2015年3月期の国内出張(資料調査)を1件、次年度実施としたため。
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次年度使用額の使用計画 |
2015年5~6月期において、2015年3月期に実施予定としていた国内出張(資料調査)を実施する。
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