最終年度(平成27年度)は、前年度に引き続き理論研究と実態調査を行った。また、国内学会で研究報告を1回行った。実態調査において、個人経営の事業者に聞き取り調査を行ったところ、金融庁や経済産業省が推進するABL(動産・売掛金担保融資)型の金融支援策について理解や関心が低いことが確認された。しかし、中小の事業者にとって、資産流動化により短期資本調達が容易になることは必要である。とくに高齢経営者の事業継続と生活水準の維持を両立させる上で、ABL型の金融スキームは魅力的である。一方、財務理論面でいえば、レバレッジの活用によって生じるリスクをどのように負担、軽減させるかを、高齢経営者の事業継続期間内で考えていかなければならない。この点では、従来からあるリバースモーゲージのような流動化手法を、事業資産に対しても適用できるようになることが望ましい。
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