研究課題/領域番号 |
26590065
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研究機関 | 立正大学 |
研究代表者 |
高橋 俊一 立正大学, 経営学部, 講師 (00547896)
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研究分担者 |
古川 千歳 愛知大学, 経営学部, 助教 (40632857)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | プロジェクトマネジメント / 多文化チーム / 国際知識移転 / インフラ産業 / 鉄道関連産業 / 異文化マネジメント |
研究実績の概要 |
平成26年度は、大きく分けて二つの側面からの研究を実施した。第一に、組織間レベルで研究を行った国際知識移転に関する諸研究、および異文化マネジメントの視点を持った国際知識移転に関する諸研究を対象とした文献渉猟とレビュー、また多文化チームにおける異文化マネジメント、および異文化チームのマネジメントに関する諸研究を対象とした文献渉猟とレビューを実施した。これらを踏まえ、本研究が対象とする社会現象とそれに対して用いる諸概念に対する定義を固めた。これらの文献渉猟や定義のために、平成26年度は計6回(5月、7月、9月、11月、1月、3月)の研究打ち合わせを実施した。 第二に、聞き取り調査を行う為の予備的調査を実施した。本研究の調査対象者は、多文化チーム内の知識移転に関わるリーダー(マネージャー)、メンバーおよびその周辺人物であり、彼らに聞き取り調査を実施することによって、その移転が「どのように」試みられ、相互作用が行われ、そして受け手側に吸収されるのかを明らかにしようと試みた。具体的には、平成26年9月下旬に、ドイツ・ベルリンで開催された国際鉄道技術見本市「イノトランス」に赴き、出展している日本の鉄道関連企業十数社を対象に、上掲の問題意識に基づいて簡単な聞き取りを実施した。さらに、本研究が当該年度中に明らかにしようとしていた、1)現状の国際知識移転のチームプロセス、2)革新的な国際知識移転のチームプロセス、3)チーム内における多文化が知識移転に与える影響(利点・欠点)、4)知識移転とプロジェクトマネジャー(もしくはリーダー)の関連性等において、具体的な調査対象となりうる企業数社を対象とした更なる聞き取り調査を、国内(東京)においても実施した。 また、平成26年11月には、国際ビジネス研究学会全国大会において、研究代表者および分担者による共同報告を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度中は、1.理論研究、2.調査準備を計画していたが、それらをおおむね計画通りに実施することが出来たため、上掲の区分に属すると判断した。第一に、理論研究においては、本研究における概念定義のために、研究代表者および分担者が、これまでの専門分野に関連した先行研究を渉猟した上で、年度中計6回のミーティングによって明確にし、研究枠組みの共有を図ることが出来た。また、平成26年11月における学会報告では、この理論研究に関する報告を予備的研究として報告したが、これも当初の計画通りである。 第二の調査準備においては、パイロット調査を実施したことも計画通りである。この調査を受けたインタビュー項目の作成は、現在実施中であるが、平成27年度秋季に実施する予定のインタビュー調査までには完成の予定である。また、調査対象とする企業をある程度絞りこむことができたことも計画通りである。平成27年度には、5社の鉄道関連企業を対象としたインタビュー調査を実施する予定であり、既にコンタクトを取っている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画書の通り、一つ目には、実態調査、二つ目には、学会報告によるアウトプットを実施する。第一には、インタビュー調査の実施および探索的データ分析を実施する。企業の海外拠点において形成された多文化チームのマネージャー(リーダー)、メンバーおよびその周辺人物を対象とした半構造型インタビュー調査を実施し、データを得る。インタビューは、許可を得て録音をし、原稿起こしを行う。なお、インタビューで得たデータだけでなく、オープンデータも併用しながら、NVIVOやATLAS.ti等の質的データ分析ソフトの利用によるコーディングやテンプレート分析等を実施する。この調査で得たデータや、データの分析内容を共有するため、共有データベースを構築するだけでなく、3ヶ月に1度のペースで実施する研究会によって情報共有を図り、他研究者からの助言を得る。 第二に、国際学会での発表を実施する。既に、平成27年6月17日からワルシャワで開催予定のEuropean Academy of Managementの年次大会への論文を提出し、査読を経て報告が決定している。また、上掲学会に提出した論文に更なる修正を施した上で、国際学術雑誌へ論文を投稿する。
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