研究課題/領域番号 |
26590067
|
研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
石原 正彦 金沢工業大学, 情報フロンティア学部, 准教授 (60510047)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 製造業 / 事業展開 / 評価指標 / 澁谷工業 / 北陸地域 |
研究実績の概要 |
北陸地域の事業展開で成功した特色ある製造業を対象にして企業活動を観察し、技術の特性、技術の育成・活用プロセスを調査しながら該当する“技術”及び技術育成にかかわる“要素”について理解を深め、事業展開性の評価に適した“事業展開性評価指標”候補の仮説的導出を試みた。今年度はボトリングシステムの製造でトップシェアを獲得した澁谷工業株式会社の事業展開事例を主に分析した。企業活動に関する情報は論文・雑誌・社史や経営者へのインタビュー調査から収集し、調査結果を踏まえて対象企業の事業展開について理解を深め、その上でその特徴を書き出し KJ法などを用いて技術の事業展開性評価の指標候補毎に分類した。本事例を分析した結果、事業展開の際に大きく影響したポイントは少なくとも5つあること、そして事業展開性の評価指標候補として、それらのポイントの背後にある事業展開成功もしくは失敗の論理を仮説的に導出した。そのポイントとは、1)新商品を開発する技術力、2)顧客ニーズの抽出能力、3)事業展開をやり抜く経営者のリーダーシップ力、4)経営陣の団結力、5)思い切った先行投資であり、それらのポイントの背後には、それぞれ1)顧客の求める仕様を確実に且つ早く具体化する設計力、2)日頃から培ってきた信頼のネットワーク、3)問題点を表出化できる風土、4)関係者相互の尊重、5)予実管理の徹底が関係すると考えた。これらの研究成果は日本経営工学会2015年度春季大会にて発表する。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は北陸地域の事業展開で成功した特色ある製造業を対象にして企業活動を観察し、技術の特性、技術の育成・活用プロセスを調査しながら該当する“技術”及び技術育成にかかわる“要素”について理解を深め、事業展開性の評価に適した“事業展開性評価指標”候補を仮説的に導出することを計画していた。 本年度は計画に沿って、北陸のニッチトップ企業の澁谷工業株式会社を調査し、論文・雑誌・社史や経営者へのインタビュー調査から収集し、調査結果を踏まえて対象企業の事業展開について理解を深め、その上でその特徴を書き出し KJ法などを用いて技術の事業展開性評価の指標候補毎に分類した。その結果、事業展開性評価指標の候補を5つ抽出することに成功した。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度に引き続き、事業展開性に成功した企業の事例分析数を増やし、事業展開性評価指標候補の抽出及び技術開発プロセスの成功の背景に潜む事業展開にかかわる論理の導出を検討する。新たな事例として、研究代表者が企業活動の現場に密着して取材できる北陸三県のニットトップ製造業を主に調査する。異なる業種の事例を複数分析することにより、事業展開性評価指標の共通点や相違点を見出し、事業展開性評価指標候補の更なる探索及び吟味を行う。 上記の検討で得られた製造業の製造・生産技術の事業展開性評価指標候補の定量化を検討する。具体的には事業展開性評価指標候補を用いて複数の企業活動を定量評価するすることを試みる。同時に企業の成長力・競争力を定量化を試みる。そして、事業展開性評価指標候補の定量評価結果と企業の成長力の相関性を確認し、事業展開性評価指標を評価する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
解析用ソフトウェア(データベース収集、データマイニング、多変量解析用)の選定に時間がかかったため。
|
次年度使用額の使用計画 |
解析用ソフトウェアの試用版を入手し、本研究に適切か否かを評価した上で、本年度中に入手する。
|