研究課題/領域番号 |
26590069
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
松山 一紀 近畿大学, 経営学部, 教授 (80351691)
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研究分担者 |
草野 千秋 関西外国語大学, その他部局等, 講師 (00536592)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | フォロワーシップ / リーダーシップ / サーバント・リーダーシップ / 人的資源管理 / 組織行動論 |
研究実績の概要 |
初年度は、ほぼ計画通りに研究を進めることができた。まず、フォロワーシップ概念を確立するという目的については、フォロワーシップについて議論されている学術的文献を10編以上レビューするとともに、比較対象概念であるリーダーシップについても考察を深めたこと、さらには、研究分担者および協力者との4回にわたる議論によって約75%は達成することができたと考える。当初は、初年度に概念を確立してから実証的研究へと進んでいく予定であったが、実証研究の成果をも踏まえなければ、フォロワーシップ概念を確立することにはならないと考え、次年度以降も探求を続けていく。 次に、フォロワーシップの規定要因を明らかにするという目的については、その準備作業として、研究協力者の勤務先企業で質問紙法による調査を実施した。約300人の従業員に「部下の望ましい行動」などを自由記述で回答してもらった。その結果、約100項目に及ぶ望ましいフォロワー行動が抽出された。 さらに、専門家からも情報収集を行った。パナソニックおよび大丸百貨店の人事責任者にヒアリングを実施することによって、現代日本企業組織におけるフォロワーシップの現状および、フォロワーシップ醸成のための人材育成施策などについて情報収集した。フォロワーシップの重要性は認識しているものの、リーダーシップの醸成に腐心しているのが実態であることが理解できた。また、フォロワーとはあくまでも、マネジメントをフォローする組織人という位置づけであり、マネジメント層の最下層に位置する課長職が組織におけるフォロワーであるという認識を抱いていることが理解できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フォロワーシップ概念の確立については、文献レビューや議論だけでは、難しいことがわかったため、次年度以降も同様の作業を続けることによって、より精緻な概念を確立したい。従って、当初の計画に対しては約75%の達成度であると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
初年度で抽出した、100項目強におよぶフォロワーシップ行動を基礎にして、新たなフォロワーシップ尺度を開発し、WEB調査を実施するつもりである。費用面を考慮して、1000サンプル程度収集できればと考えている。この調査によって、日本人労働者におけるフォロワーシップ行動をいくつかの要素に分解することができるものと思われる。そしてこの結果が、フォロワーシップ概念の確立に大きく貢献することは間違いない。さらに、この調査に、上司のリーダーシップを問う項目を含めることによって、上司のリーダーシップスタイルと部下のフォロワーシップスタイルの適合性などについても検討できればと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度、研究を進めていく中で、次年度の量的調査においては、WEBを用いた手法を取り入れた方がより好ましいという判断に傾いた。そこで、急遽見積もりをとったところ、30万円を超えることが判明した。しかし、本年度の予算額は50万円しかなく、その他の費用を考えた場合、少しでも本年度のために繰り越すことが望ましいと判断した。これが理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
日本企業におけるフォロワーシップ特性の特定化と、労働成果にとって有効なフォロワーシップ特性を明らかにするための量的調査を7月ごろに予定している。見積もりをとったところ、今の時点では、約30万円の費用が必要であることがすでにわかっているが、質問項目がさらに増える見込みであるため、サンプル数を減らすか、調査費用を増額するか、これから検討するつもりである。
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