研究課題/領域番号 |
26590072
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
古川 澄明 山口大学, その他部局等, 名誉教授 (10148992)
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研究分担者 |
三木 奈都子 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産大学校, 教授 (90416454) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | フグ / 卸売市場 / 卸売流通 / 仲卸 / アジアフグ市場 / フグ養殖 / アジア食材流通 / 和食市場 |
研究実績の概要 |
アジアのトラフグ食材市場について、平成28年度は、シンガポール、香港の現地調査を実施した。シンガポールでは、日本の有資格専門加工業者から少量のトラフグ除毒部位(ミガキ)が空輸で日系や現地中華系のレストランに送られ、料理品として提供されている。日本から輸入されるフグ以外の生鮮魚に比較すれば、フグ食を取り扱う和食・中華レストランは数える程である。取扱量も取るに足りない量である。日本から輸出されるトラフグは、日本の有資格専門加工業者において有毒部位を除去した「ミガキ」冷凍・保冷フグである。日本から輸出されるトラフグ以外のフグ種類については、調査の限りでは、見られなかった。 アジアの大和食市場である香港やシンガポールでは、日本から輸出される生鮮魚の和食材市場が拡大している。そうしたなか、フグについては、市場は存在しないに等しい。フグの食習慣が存在しないことから、フグ食材に対する関心は低く、マスコミ関係者のヒアリングにおいても有毒魚意識が強く、食材認識が極めて低い。シンガポールやマレーシアの政府食品安全衛生行政当局は、トラフグ可食部位の一部(筋肉)の輸入を認めているが、日本におけるようなフグ除毒部位食材すべて(筋肉、白子、ヒレ、皮など)の輸入は認可していない。香港やタイでは、フグ輸入は禁止である。 次に、アジアのフグ市場における新しい動きは、中国において出現している。2016年11月に中国・江蘇省調査を実施した。その成果として得られた実態知見は次の通りである。中国では、1990年代頃から、大連・庄河地域において日本・韓国向けのトラフグ養殖が起業され、成功を見てきた。同時に、揚子江に生息する「メフグ」が伝統的に食べられてきたが、江蘇省の江蘇中洋集団株式有限公司において「メフグ」の大規模な養殖事業が起業され、2016年9月に中国政府のフグ食解禁となるにいたって市場拡大が見込まれている。
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