研究課題/領域番号 |
26590076
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
中田 善啓 甲南大学, 経営学部, 教授 (20109870)
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研究分担者 |
長坂 悦敬 甲南大学, 経営学部, 教授 (00268236)
石垣 智徳 南山大学, ビジネス研究科, 教授 (20254443)
三上 和彦 甲南大学, 経営学部, 教授 (30351753)
玄野 博行 大阪国際大学, 人間科学部, 准教授 (30726740)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ターゲッティングマーケティング / ビッグデータ / プラットフォーム / 融合コストマネジメント / 戦略管理会計 / 情報共有 / サプライチェーン・マネジメント / マーケティングモデル |
研究実績の概要 |
2014年度の研究ではクラウド時代のマーケティングパラダイムのシフトを,プラットフォームの進化,マーケティングとコストマネジメントの融合による知覚価値の変革,ビッグデータの分析,参加とコラボレーションによる価値創造,サプライチェーン・プラットフォームのサブテーマから分析した。クラウド時代ではウェブ2.0が展開されることによって,モバイルが普及し,ビッグデータの収集・分析が可能になった。伝統的なマーケティングの焦点は消費者のニーズが何であるかに焦点を当て,まずは消費者に関するデータを収集することから始まった。クラウド時代に入るとソフトウェアの進化,モバイル普及によってオンラインで消費者のデータが入手でき,オンラインマーケティングモデルが開発された。 サブテーマでは融合コストマネジメント論を包含する戦略管理会計について,マーケティングとコストマネジメントの融合による知覚価値の変革,パラダイムシフトなどを視野に入れて,①先行研究から戦略管理会計の意義・特徴について整理・ 考察し,②企業アンケート調査の分析し,③企業訪問・ヒアリングによる実態調査を加え,戦略管理会計技法の活用について展望した。また,プラットフォームへの参加とコラボレーション・ネットワークの理論分析を行った。さらに,クラウド時代における流通をめぐる様々な組織間関係が生み出すパフォーマンスの多次元的属性に焦点を当てながら,それを説明しうる変数を探り出していくことを視野に入れて,①流通分野およびサプライチェーン・マネジメント に関する企業事例の文献を中心に,その他主要な学術的ジャーナルとその関連図書を加えつつ整理・考察し,②企業訪問・ヒアリングによる実態調査を加えながら,サプライチェーン・プラットフォームに関する分析枠組みについて考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
クラウド時代のマーケティングパラダイムシフトについて製造企業が販売チャネルをコントロールし,ユーザ(特に消費者)のニーズを調査して製品化するクローズドシステムから,オープンシステムへの変化について研究を行った。マーケティングとコストマネジメントの融合による知覚価値の変革,コラボレーション,サプライチェーン,ビッグデータの分析について,それぞれのメンバーがその専門分野から主として文献研究を行い,インターネットやプラットフォームがマーケティングにどのような変革をもたらしたかを分析した。 オープン化によってユーザの参加によるコラボレーション,プロシューマの出現によってコラボレーション,さらにはコラボレーションによるイノベーションが行われている。このようなシフトについて主として文献研究を通じてそのシフトの要因を明らかにすることができた。 2014年度は主として理論研究を中心に行ったが,同時に企業訪問を行い,その変革の実態を明らかにすることができた。 したがって,本研究はおおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
情報システムの進化によってマーケティングのパラダイムがどのようにシフトしたかについて前年度に引き続き,理論研究を進めると同時に事例研究を行う。特にグーグル,フェイスブックなどのソーシャルメディアプラットフォームではユーザが検索エンジン,メール,位置情報,ソーシャルボタンなどを通じてプラットフォームにアクセスすることを通じて参加している。同時にユーザはプロシューマとしてコンテンツの作成に参加している。これらのユーザのデータに基づいてターゲッティングマーケティング,特にターゲッティング広告が行われている。このようなソーシャルメディアプラットフォーム,特にグーグル,アマゾン,フェイスブックについて事例研究を行う。 サブテーマでは,ジオメディア,ジオサービスが内在するゲーム性,仮想空間の交流と融合した新たなコミュニーケーションが生む知覚価値に焦点をあてて,融合コストマネジメント論を発展させる。また今年度集めた資料をもとにネットワークの情報共有と伝播について分析を行い,マーケティング・モデルについてその概要と変遷ならびに最新の動向をまとめる。サプライチェーン・プラットフォームの分析ではマーケティングパラダイムのシフトに伴う今後の展開を明らかにする。
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