研究課題/領域番号 |
26590077
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研究機関 | 神戸山手大学 |
研究代表者 |
田中 祥司 神戸山手大学, 現代社会学部, 講師 (70704922)
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研究分担者 |
高橋 広行 同志社大学, 商学部, 准教授 (00580325)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 本物感 / カテゴリー / ブランド |
研究実績の概要 |
本年度は,(1)インタビュー調査,(2)尺度項目の検討,(3)量的調査(尺度開発)を進める予定にあった。 インタビュー調査によって得た質的データをM-GTAで分析したところ,前年度に抽出した本物感構成要素を確認しつつ,消費者は「購買前」「購買時」「購買後」を通して当該要素を取得していることを明らかにした。つまり本物感は,時間の経過とともに形成され得ることを示唆した。同時に,要素の種類やそれを取得するための情報源(メディア等),時間との関係において一定の規則性を見出した。 次に,前年度の結果,及びインタビュー調査結果を踏まえながら,本物感を構成する要素を反映した尺度項目を作成した。一連の尺度作成は,2名の消費者行動研究を専門とする研究者によって進めた。結果として,21の本物感構成要素を反映する132項目からなる尺度項目候補を作成した。 その後,上記尺度項目を用いた量的調査を行った。天井効果,フロア効果を確認し,残った尺度を用いて,探索的因子分析を行った。分析から得られる共通性,因子負荷量を考慮し,それぞれの値が低い項目は削除し,繰り返し探索的因子分析を行うことで,構成要素を反映した分類になるかどうかを確認した。最終的に,本物感構成要素が11の要素(42項目)に集約される結果となった。 最後に,内部一貫性,1次元性,収束妥当性,弁別妥当性の確認を行ったところ,問題ない数値を得た。結果として,先行研究で指摘されている要素に加え,新たに3つの要素の存在を示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本物感構成要素抽出時,及び調査時ともに一貫してカテゴリー,及びブランドを横断的に調査対象とした結果,先行研究で指摘された要素を確認しつつ,新たな要素の存在を示唆した点は意義があると考える。 新たな要素の発見に繋がったのは,先行研究とは異なり,カテゴリーやブランドを特定せずに収集した自由記述回答をコーディングし,より多くのデータに基づいて要素抽出を試みた結果である。とりわけ,今回新たに示唆した要素の1つは,経験によって獲得し得る要素と推測される。 本年度新たに示唆した要素,及び当該尺度項目を含め,来年度は尺度を精緻化していく。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は次の研究を計画している。 (1)本物感尺度の精緻化:先行研究を参考に,カテゴリー,及びブランドを特定した調査を予定している。同時に,本物感構成要素と当該要素の近接概念との弁別妥当性を確認する。 (2)広告への応用:本物感を演出した広告と結果要素(購買意向・ロイヤルティ)との関係を検証する。その際,高関与製品/低関与製品、製品に対する知識の高低や被験者の属性等から多面的に分析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度において量的調査(予備調査・本調査)を2回予定していたが,予備調査のみ実施したため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度において本調査を予定している。
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