本年度は、六次産業化の基本に立ち返って一次産業従事者への聞取調査を行った。当該従事者のうち、とくに農産物そのものについて付加価値をつける工夫に注力している農業従事者にたいして行った聞取調査を基礎として、現状の把握と収益化のプロセスについて検討を行った。 農業従事者が行っている栽培方法に関する工夫として、自然栽培があげられる。自然栽培を行うと、当該生産物から得られる生産量は慣行栽培によるものより低下する。そのために、販売可能な数量についても慣行栽培によるものと比較して低下する。一方で、販売価格の面では、慣行栽培によるものより高い価格で販売されている。加工品についても、自然栽培の農産物によるものは、一般的な慣行栽培のものよりも高い価格で販売されている。 慣行栽培よりも手間がかかるため、高価格で販売しないと利益がでない。しかし、高価格でもなお購入希望者がいる。六次産業化に積極的に取り組む農業従事者への聞き取りによると、農業従事者はあくまで農業従事者であるという意識が高く、加工による高付加価値化というより生産についての工夫を行っていることがわかった。 さらに、六次産業化がはかられている地域の特産物のうち、比較的に酒類は利益率が高く、成功事例が多いことについても検討を行った。酒税法との関連からさらなる検討を事業規模等について行う必要性はある。しかしながら、酒類に関連するメーカーを調査対象として選出する合理性に関する予備的な調査を行うことが結果としてできたといえる。
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