本研究の目的は、会計不正を根絶する制度設計のために、会計規制設定機関に対して、提言を行うことである。これまでの会計不正防止策は、基本的に、会計制度を厳格化することで、その目的を果たそうとしてきた。しかし、会計不正は後を絶たない。そこで本研究では、会計不正を行う人間心理に注目して、会計不正が生じるメカニズムについて考察した。 主たる結論は、次の3点である。①経営者は自己の利得のために、会計不正を行う。②会計不正が実現されるためには、歪曲された会計利益に保証を与える他のプレイヤーが必要である。③会計不正を根絶するためには、経営者とこのプレイヤーの共謀を防ぐ会計規制の設定が必要である。
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