研究課題
挑戦的萌芽研究
本研究の目的は,東寺百合文書の中に伝来する,光明講方算用状(1427-1532)における会計システムの変遷を実証的に解明することにあった。光明講方算用状を研究対象とし、Giddensの構造化理論を基軸に、会計の社会的インパクトを考究している。結果、(1)光明講方という組織と他の寺内組織との関係性が崩壊する危機において会計システムが変化していること、(2)(1)より会計は組織間の関係を強化する媒体であり、光明講方算用状の分析はそれを表す一事例であることを明らかにした。
会計史
本研究における最大の成果は、「日本中世寺院会計史研究」という、会計史研究における新領域を構築したことである。史料が膨大に残存していることからも発展の余地は大きい。また、会計史研究における国際的な議論で今日着目されつつある「宗教組織の会計史」では、未だ日本中世寺院会計史研究に光が当たることがなかった。国際学会と、国際的学術誌でその重要性を世に提示することが出来た。