研究最終年度(第2年度)である平成27年度は、第1年度に引き続き、各種文献・資料の渉猟を行うとともに、国内及び海外における調査を実施した。 国内については、主に監査法人の協力を得て、ヒアリングと質問票調査を実施した。また、海外については、アメリカでの調査を実施し、現地の監査法人の協力の下で監査時間に関する質問票調査を実施した。他方、英国については、訪問する機会が得られなかったため、従来から交流のある研究者の協力の下でのe-mailを通じての調査にとどまったが、日本やアメリカでの調査と同じ質問票による調査を実施することができた。 これらの調査によって得られたデータは、現在、分析中であり、今後、研究代表者自身が以前実施した研究を含む、先行研究の結果との比較検討を行うとともに、2016年度の国内での学会で報告する予定となっている。 2年間の挑戦的萌芽研究の資金を利用しての調査は、海外調査においては必ずしも当初に想定したとおりの実施方法とはならなかったが、最終的には、予定していた日本、アメリカ、及び英国でのデータを収集することができた。これらの調査によって得られた監査時間のデータは、非公開データながらも、先行研究の限られているものであり、今後の研究の可能性を開く貴重な基礎データとなると考えている。 また、本研究を展開させるため、監査時間に限らず、個々の監査業務及び監査事務所における監査の品質を客観的に測定する指標を開示させようとする動向があることに鑑みて、そうした監査品質指標(Audit Quality Indicator)の研究について、引き続き科学研究費補助金(基盤研究(c))の補助を得て研究を展開させていくこととなった。
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