研究課題/領域番号 |
26590088
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
志田 基与師 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (90178872)
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研究分担者 |
与謝野 有紀 関西大学, 社会学部, 教授 (00230673)
都築 一治 流通経済大学, 社会学部, 教授 (20180028)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 職業 / 勤労のエートス / AIと消滅する職業 / 社会的連帯 / 共感 |
研究実績の概要 |
当初の研究目的は、以下のようであった:(1)知識基盤社会においてすべての職業が専門職化する;(2)専門職はイノベーティブであるがゆえにリスクを伴う;(3)専門職の持つリスクを、個人の職歴および社会の必要性とからいかに持続可能にできるかその条件を探る、というものであった。 しかしながら、共同研究者3名の意見交換の中で次第に明らかになったことは、上記の問の立て方ですら、社会学的になお多くの検討を必要とすることである。 社会における職業活動の重要性は、それが生産に関わることによって特徴付けられる。生産に費やす時間、社会的可視性(公共性)から見て、人々の生活は余暇活動や、プライベートな消費活動によってではなく、生産への関わり方で評価されやすい。社会の分業は、最終的には「消費」によって支えられているはずなのに、社会の分業は生産によって特徴付けられている。 生産について、AIの発達によって人々は「仕事を奪われる」というが、「働かなくともよくなる」とはいわない。職業は社会に必要なものを供給するのではなく、私的消費の必要を満たす手段である。われわれがなぜ働くのか、という問いに対する最も単純な答えは、「(消費)生活のため」というものであろう。 生産と消費とは市場を通じて著しい非対称性を持っている。とくにマックス・ウェーバーの指摘した禁欲的プロテスタントの職業倫理に、この生産サイド偏重の特徴が顕著に表れている。これと対照的な主張であるゾンバルトの学説にも注意が向けられるべきである。 以上のように、設定した課題に対して、われわれは、なかば途方に暮れながら、新しい職業観、新しい社会分業観の再構築に向かってるということができよう。
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