厚生労働省の一般会計(特に都道府県労働局)と特別会計(特に労働保険)の概算要求書から、職業紹介事業に携わる非正規公務員の人数と所得水準を明らかにした。平成28年度の数値は、職業相談員等が5870人で年収212.4~214.8万円、求人者支援員が960人で年収269.5~270.7万円、就職支援ナビゲーター等が8550人で年収325.4~326.6万円であった。 主任級の再任用職員の年収は約300万円なので、就職支援ナビゲーター等の所得水準が低いとは言えない。そして、就職支援ナビゲーター等が職業紹介事業に携わる非正規公務員に占める比率は56%であった。先行研究が指摘するように、職業相談員等の所得水準が低いのは事実であるが、職業紹介事業に携わる非正規公務員全体の所得水準が低いとは言えない。 平成29年度からは非正規公務員の所得水準が大幅に向上する。第1に、日当が大幅に引き上げられる。職業相談員等は8850円から9800円に950円(10.7%)、求人者支援員は1万1230円から1万1690円に460円(4.1%)、就職支援ナビゲーター等は1万3560万円から1万4700円に1140円(8.4%)引き上げられる。第2に、非正規公務員にも期末手当が支給される。職業相談員等は年額16.1万円、求人者支援員は年額19.3万円、就職支援ナビゲーター等は年額24.5万円である。これらにより、職業相談員等の年収は212.4万円から251.3万円に38.9万円(18.3%)、求人者支援員の年収は269.5万円から300.0万円に30.5万円(11.3%)、就職支援ナビゲーター等の年収は325.4万円から376.8万円に51.4万円(15.8%)向上する。もはや、就職支援ナビゲーター等だけでなく求人者支援員の所得水準も低いとは言えない。ただし、職業相談員等の所得水準の改善は依然として必要である。
|