研究課題
2016年度は4月、8月、12月にプロジェクトメンバーで集まり研究会を実施した。研究会の目的は、2014年および15年に実施した調査成果の検討である。検討の結果抽出されたのは、山間村落における「限界」化の進行と、それに付随する支援機関の衰退であった。2015年の調査は2010年から継続しているパネル調査であったため、集落の変化を検討することができる。調査から示されたのは、集落の類型に関わらず、いずれの山間村落も高齢化、人口減少(単身化と無住化)が進展しているという事実であった。この知見は、「村落の類型により限界化のありようは異なる」という当初の想定とは異なるものである。その一方で、医療・福祉などの専門機関は、対象エリアをより一層広域化させたため、「手の届かない」サービスとなりつつあった。これらの調査結果は非常に重要な発見であったものの、その一方で、変化の途上であるという印象も強く残った。そこで、本プロジェクトでは、拙速に「限界」化のありようを結論づけずに、数年に一度のペースで注意深く山村の様相を精査し、研究を継続することとした。それと同時に、膨大な文書資料の整理にも着手した。当初、2014年、2015年の調査で一つの結論を出す予定だった本プロジェクトは、二つの調査によって、問題の深さを再認識することとなった。この認識を踏まえ、次年度以降も継続調査を実施して、山村における福祉および持続可能性の確立という問題にアプローチしてゆく。
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地域社会学会年報
巻: 29 ページ: 印刷中
桃山学院大学社会学論集
巻: 50(1) ページ: 67-94