研究課題/領域番号 |
26590097
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研究機関 | 大妻女子大学 |
研究代表者 |
吉原 直樹 大妻女子大学, 社会情報学部, 教授 (40240345)
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研究分担者 |
松井 克浩 新潟大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (50238929)
今野 裕昭 専修大学, 人間科学部, 教授 (80133916)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 原子力防災訓練 / 防災計画 / 福島第一原発 / 柏崎原発 |
研究実績の概要 |
研究実施計画に基づいて、まず(1)吉原研究室で調査計画実施のための打ち合わせと、大まかなスケデューリングを行った。そして研究代表者および研究分担者の役割と分担にしたがって、まず関連文献・資料の収集を行った。具体的に吉原は大熊町および楢葉町の関連資料を大熊町役場(会津若松市)および楢葉町役場(いわき市)で収集した。今野は福島県立図書館および福島県庁で相双地区の関連資料を収集した。松井は新潟県立図書館、柏崎市立図書館および新潟大学で柏崎原発に関する関連資料を収集した。現在、その資料を集約中で、近々、それらをファイリングしてメンバー間で共有することになっている。 次に(2)もっぱら吉原が会津若松市の仮設住宅およびみなし仮設住宅の住民に対して、プレ3・11の原子力防災訓練への参加をめぐるヒヤリングを十数回にわたって実施した。その成果の一部はすでに口述資料として集約済みである。なお、当初予定していたアンケート調査は、住民の離散状況がはなはだしく、事実上、母集団を確定することができず、断念した。その代わり、ヒヤリングは当初想定していたものより拡げ、アンケート調査不実施によって生じた欠を埋めることにした。ただし、拡大した分、集約に時間がかかり、現在、その作業を急いでいる。 26年度は、以上の(1)、(2)に加えて、(3)楢葉町役場で課題をめぐるセミナーを実施し、吉原、町担当者、消防団長、区長、さらにメンバー以外の松本行真(東北大学災害科学国際研究所准教授)が参加し、論点を確認するとともに課題を抽出した。なお、当初予定していた、(1)および(2)のfindingsを集成した中間報告書の作成は、27年度にずれ込んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
インフォーマント(調査対象者)と想定していた避難民の移動(住み替え)が激しく、アンケート調査は実施できなかったが、その分、ヒヤリングについては当初予定していた以上の進捗をみた。同時に、ヒヤリングで得た資料が膨大な量にのぼり、しかもその集約が手作業によるところが多く、多大な時間を費やしている。またそのために報告書の作成が遅れている。しかし、研究そのものは確実に進展しており、中間的なまとめをすでにいくつかの論文において集成している。 時間的な遅れは次年度のできるだけ早い機会にクリアできる見通しがたっており、研究そのものは着実に前に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
26年度の未遂の部分を次年度の早い時期に達成するとともに、その成果を踏まえた現地報告会(セミナー形式)を実施する。そしてそこであらたに得られた知見を集約するとともに、よりインテンシヴなヒヤリングを実施し、それによって得られた知見と合体して研究課題の最終結論へと導く。 なお、できれば、柏崎市での関連ヒヤリングも実施し、その成果と既存の成果をつきあわせてより充実した最終結論に至るよう努力したい。なお、可能なかぎり成果の関連学会での発表およびtransdisciplinaryな社会への発信を行うようにしたい。また現場への成果のfeedback(地元還元)も試みる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画であげていたヒヤリング・調査がインフォーマント、関連機関の事情により、日程調整(調査時期等の延期・変更)がうまくいかず、一部実施するにとどまったことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
すみやかに研究計画に遡及して未遂の部分(ヒヤリング等)を遂行するとともに、27年度の研究計画との整合的な調整をおこない、研究の効率的、実質的な進捗をはかるようにしたい。
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