研究課題/領域番号 |
26590101
|
研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
相澤 真一 中京大学, 現代社会学部, 准教授 (00456196)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | 社会科学教育 / 社会調査 / 質問紙調査 / 教育実践 / 中等教育の社会科 / 効果測定 / 社会学学習 / シティズンシップ教育 |
研究実績の概要 |
本研究の着想が斬新な点は、社会学という枠に閉じこもろうとするのではなく、むしろ、現代教育の社会科という科目の教育実践に根差しながら、大学、中学高校の両者の教育改善に資することを試みようとしている点にある。この点で、大学以前の教育/大学での教育/卒業後の社会での応用という3つの局面間の連携を取る社会科学教育のあり方を検討するための実践を平成26年度に試みた。 特筆すべき報告として挙げられるのは、中学3年生の公民的分野における社会調査教育の応用である。公民的分野における「現代の社会的事象に対する関心を高め、様々な資料を適切に収集、選択して多面的・多角的に考察し、事実を正確にとらえ、公正に判断するともに適切に表現する能力と態度を育てる」という目的は、社会科学とりわけ社会学の社会調査教育と親和性の高いものであり、実際に中学の公民的分野の授業10コマ分を使って、社会調査実習を行い、その報告を行った。 また、この実践のなかでは、実施前、実施後、半年後の3回に受講した生徒に対する調査を行い、効果測定に向けたデータを収集した。これについては平成27年度にさらに分析を行う予定である。 これらの実践に加えて、このような社会学教育、社会科学教育ならびに、社会科教育で身に付く知識と能力にかかわる理論的考察とそれに向けた資料収集を継続して続けてきた。これについては、イギリスのシティズンシップ教育とのかかわりを中心に国内外の資料を集めてきており、平成27年度には海外での学会発表も行う予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、調書に記したもののうち、大学レベルへの実践については、準備段階にとどまったものの、中等教育段階への実践は、実際に教育実践を行う、効果測定のデータを集めるなどのことが成功でき、期待以上の成果を収めている。総合すれば「おおむね順調に進展している」と言える。
|
今後の研究の推進方策 |
平成27年度は、質問紙調査の中等教育段階の実施のみならず、インタビュー調査の実施も行う予定である。これにより、量的調査、質的調査という社会学のデータ収集の営みおよびその背景にある社会科学的な考え方を中等教育段階にどのように提供できるかについて、挑戦的実践を試みる。また、質問紙調査を生かした授業実践は、附属高校の総合的学習と提携を行い、より一般的に実践しうるものを作れるような検討を試みる。 加えて、平成27年度より開始している社会学教育を諸方面とつながりを持たせる本学部のカリキュラムの実施と並行して、中高の社会科教育、キャリア教育、社会調査教育との連携を持たせる形の研究教育実践を試み、未来の社会科学ユーザを育てるための教育実践の開発に複合的な視点を持ってアプローチする。
|