児童養護施設では入所児童の半数以上が被虐待経験を持ち,何らかの障害を抱えている児童も相当数に上っているという現状がある。本研究は,児童養護施設の中で従来行われてきた「環境療法」と「安全委員会方式」という2つの環境調整の方法に加え,より簡便な形での環境調整の方法を探索的に導き出すことを目的とした。 研究は,児童養護施設での長期にわたる参与観察を基に行われた。その結果,当初検討されていた解決志向ブリーフセラピーに基づく環境調整が修正され,サインズ・オブ・セーフティ・アプローチを用いた方法,さらには未来語りのダイアローグを用いた方法が検討され,それぞれの有効性が示唆される結果となった。
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