ドイツにおける求職者基礎保障(SGBII)の実施主体は、自治体と労働エージェンシー(AA)の協同機関(ARGE、後にgEに改称)と、上限108の認可自治体とされている。本研究はこの認可自治体モデルに着目し、ローカルなレベルでの雇用政策・労働市場政策における成果、課題、財源保障システムを検証することを目的とした。認可自治体では、従来自治体が担ってきた公的扶助や青少年扶助での対人支援の経験と、地域内の雇用者団体や各種社会的企業との連携の下に、就労阻害要因を持つ人々に対する社会包摂的な雇用創出・就労支援に成功している。しかし一方で、その財源保障をめぐって連邦政府との軋轢も多いことが明らかになった。
|