研究課題/領域番号 |
26590117
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
志村 健一 東洋大学, 社会学部, 教授 (20265119)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 知的障害者 / 意思決定支援 / ICT |
研究実績の概要 |
携帯性と利便性を併せ持つタブレットPCは、障がい児教育や障がいのある人のコミュニケーションに広く用いられるようになっている。iPadに代表されるタブレットPCの特性は知的障がいのある人の意志決定支援のツールとなる可能性を示唆しており、日本国内の教育、リハビリテーションにおける活用を調査した。またタブレット端末は、直感的に利用できるメリットのほかに、携帯性とインターネットの利用が可能であるメリットがある。このようなメリットを活用することにより、タブレット端末が知的障がいのある人たちの社会生活上の有効なツールになっていることを検証するための海外現地調査(2015年9月)を実施した。調査地として選択したのはホノルルである。選択の理由として、国際的な観光地であり、無料の公衆無線LAN等に接続しやすいこと、都市と住宅地、またハワイ州は行政・ビジネスの中心地から交通手段が限定されるような地域までをカバーしていることであった。 調査によってタブレット端末が、知的障がいのある人たちの教育やリハビリテーション、社会参加に有効活用されていることが判明した。iPadを活用するためにはApp storeから必要なアプリをダウンロードしなければならないが、2015年に150万を超えたというアプリから適切なアプリを選ぶことが必要である。アプリの購入はiTunesカードというプリペイドカードを利用する方法とクレジットカードを利用する方法があるが、教育機関や福祉施設ではこのアプリの購入が課題となる。個人のクレジットカードを使うことの問題やプリペイドカードの場合の使用記録と、アプリの金額とプリペイドカードの金額の差額が発生する問題である。 そこで本調査を通じて,知的障がいのある人たちを支援するにあたって有効活用できるアプリを選択し、プリペイドカードに残高が発生しないようアプリの組み合わせを試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究全体の目的を達成するために、以下のような3部構成で研究を遂行している。 (1)日本国内での教育やリハビリテーションなどにおける、iPadなどタブレットPCを用いた先進的な取り組みについて調査する。(2)社会福祉分野においてその活用が開始された海外の先進的な取り組みについて調査し、有効性を確認する。(3)上記の調査をベースに知的障がいのある人たちの意思決定支援におけるタブレットPCの活用プログラムを企画し、その有効性を検証する。現在2年目が終了した時点で上記の1と2が終了し、その結果を以下のように取りまとめた。 志村健一(2016)「知的障がいのある人たちの意思決定支援におけるタブレットPC活用に関する調査報告」『福祉社会開発研究』No.8.
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今後の研究の推進方策 |
2年目までの調査を基盤として知的障がいのある人たちの意思決定支援におけるタブレットPCの活用プログラムを企画し、その有効性を検証することが残された課題である。すでに現場にタブレットPCを貸与し、使用を開始した。当初の研究計画ではアプリの開発をもくろんだが、開発費用や保守費用の観点から開発そのものは中止し、既存のアプリの組み合わせを提案する方法で意思決定支援に寄与する研究を遂行する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ヒアリングの謝礼、アプリ開発にかかわる経費が不要となったため差が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
アプリ開発にかかわる経費が不要となるため、研究の成果を国際学会で報告し、実践現場でのさらなる活用に経費を使用する。
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