研究課題/領域番号 |
26590119
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研究機関 | 明星大学 |
研究代表者 |
横倉 三郎 明星大学, 人文学部, 教授 (90366914)
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研究分担者 |
香椎 正治 明星大学, 情報学部, 教授 (00409525)
吉川 かおり 明星大学, 人文学部, 教授 (90309013)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 重症心身障害者 / 知育 / 自立支援 / 介助負荷軽減 |
研究実績の概要 |
本研究で開発している移動装置の使用者である重症心身障害者やその介護従事者などのヒアリング調査及び分析結果などからは、利用者が(1)移動装置からベッドに移乗する時に、また、(2)移動装置から一般の車椅子に移乗する時に、不自然な姿勢から派生する身体的な負担軽減に資する補助機能に関する要望・要請が多くみられた。現在、開発中の移動装置には、今後、上記2点の機能追加の必要性が喫緊の重点課題であると考え、新たな機能追加として、①移動装置のシートのベッド化と②シートを立ち上げることによる起立補助機能の開発を優先して行った。 移動装置の構造仕様の変更、改造により、①背シートとレッグシートがリンクした電動リクライニング機能付加によるベッド化、加えて、シート全体を電動アクチュエータ使用による上下移動可能の実現から、ベッド移乗が簡便に行えるようになった。 また、②背シートとレッグシートがリンクした状態で、かつ、レッグシートとフレームが固定するロック機構および座シートとフレームとのロック解除機構を付加したことによりシートを立ち上げること(起立姿勢状態)が可能になった。さらに、移動装置のステップを電動ターンテーブルにしたことにより、車椅子への移乗が簡便に行えるようになった。しかしながら、当初製作の移動装置が大幅に改造されたことによりフレームの強度不足となり、その後の実用走行実験が遅延している。 重症心身障害者と介護従事者とが簡便に意思疎通を行える、コミュニケーション支援ツール(コントローラ)は、障害者や介護従事者のヒアリング調査及び分析結果からさらに使いやすいアプリケーションとなり日本福祉工学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在においては、当初、我々が開発予定としていた重症心身障害者利用の移動装置として、移動装置のフレーム及び背シート、座シート、レッグシート、フットプレートの試作が完成した。しかしながら、重症心身障害者とその介護者等の要望・要請から追加機能を付加し、改造する必要性が派生したことにより移動装置のシートのベッド化またシートを立ち上げることによる起立補助機能の開発を優先した。これに伴う当初製作の移動装置の大幅な改造よりフレームの強度不足となり、実用走行実験が遅延している。 障害者とのコミュニケーション支援ソフト開発(障害者用外部制御型コミュニケーションツール開発)は、前回に比べて、障害者に合わせて内容の変更・追加が可能であり、介護支援者によるデータ更新が容易となった。 上述したように、現在の進捗状況は、総合的に判断すると概ね順調に進展していると言える。
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今後の研究の推進方策 |
移動装置用フレームの改造に加えて、フレームカバーとシートの製作を行うとともに、前年度の予定であった医療施設や福祉施設の従事者へのヒアリング調査に併行して、移動装置の動作状態の評価を行う。また、本学の人文学部福祉実践学科が提携している福祉施設において、走行試験を行う予定である。得られた成績・成果を日本福祉工学会等で口頭発表を行う。また、成果を纏め日本福祉工学会誌等への論文投稿も行う。さらに、本研究の研究成果を社会・国民に発信するために2016年10月12日~14日に東京ビックサイトで開催される国際福祉機器展(H.C.R. 2016)で展示発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
フレームの大幅な改造を行ったために現有している機構部品や材料などを使用したために物品費に差額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
新機能を追加したことによるシート・フレームカバーの製作費およびHCR展示用照明器具費に差額分を補填する。
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