研究課題/領域番号 |
26590125
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研究機関 | 神戸親和女子大学 |
研究代表者 |
戸田 典樹 神戸親和女子大学, 発達教育学部, 教授 (70584465)
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研究分担者 |
田中 聡子 県立広島大学, 保健福祉学部, 准教授 (30582382)
大友 信勝 中部学院大学, 人間福祉学部, 教授 (50085312)
河村 能夫 龍谷大学, 龍谷エクステンションセンター, 名誉教授 (10121625)
大友 芳恵 北海道医療大学, 看護福祉学部, 教授 (20347777)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 国際情報交換 / 日韓比較 / 中間的就労 |
研究実績の概要 |
2014年度については、中間的就労についての実態調査を日韓両国で実施している。日本では生活困窮者自立支援法施行に向けて2013年度にモデル事業を実施した23自治体について電話で調査を実施した。多くの自治体が中間的就労に取り組みを開始したばかりであったが、先行する京丹後市、相模原市、佐倉市については、担当者へのヒアリングを実施し、奥羽市、千葉市、大阪府、湯沢市、箕面市、名張市については調査報告書を入手している。いずれの自治体も、2015年度における国や県からの補助金について不安を抱えており「来年度事業について検討中」との回答が多かった。ただ、すでに先行して取り組んできた自治体では、中間的就労を提供する事業所が多く存在し、街づくりや仕事づくりに一翼を担っているため「事業を中断することは難しい」との回答を得た。 韓国については、2015年から希望リボーンプロジェクト事業が就業成功パッケージ事業に統合さることに決まり、中間的就労の取り組み動向を調査した。韓国の仁川、京畿、ソウルの希望リボーン事務局と中央自活センターを訪問し、希望リボーンプロジェクト事業についての評価と、今後、就業成功パッケージにおいて、どのように希望リボーンプロジェクトを継承するのかについて聞き取り調査を実施した。担当職員は、一様に希望リボーンプロジェクト事業と就業成功パッケージ事業では、対象者が異なるニーズを持っていることを指摘した。例えば、希望リボーンプロジェクト参加者は、働いた経験も短い、働くことへの意欲が低い、働くこと以外にも多様な問題を抱えているといった特徴を持っている。このため仕事を斡旋するだけ、職業訓練に参加するだけでは仕事に結びつかないと指摘している。今後、就業成功パッケージ事業において希望リボーンプロジェクトが対象としてきた人をどのようにフォローアップしていくのかが課題であると指摘している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日韓両国において中間的就労についての位置づけに変化が表れている。つまり、日本では、生活保護自立支援プログラムの現場実践で構築されてきた中間的就労が生活困窮者自立支援法で位置づけが変わった。「釧路モデル」と呼ばれ半福祉半就労という自立支援のあり方を提起した中間的就労が、職業訓練として見直された。 さらに、韓国では、稼働能力の低い人たちを対象として社会福祉援助を伴う就労支援を実施してきた希望リボーン事業が雇用労働部が実施する就労斡旋、就労訓練である就業成功パッケージに統合された。このような中間的就労の変化についての評価を日韓両国の事業提供者を対象に調査を実施できたことについては計画どおりである。 ただし、研究代表者が新たに所属した大学については、研究倫理委員会を設置していなかったため、倫理審査を受けることができなかった。このため中間的就労で働く当事者を対象とするインタビュー調査はできなかった。ただし、2015年度には研究倫理審査委員会が設置されるため、倫理審査を受け調査を進めたいと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2015年度については、所属する大学で研究倫理審査委員か設置され、倫理審査を受けることが可能になる。このため、中間的就労で働く当事者を対象としたインタビュー調査を実施したいと考えている。 また、日韓両国で見直された中間的就労について問題点捉えることで、それぞれの共通点と相違点を明らかにしたいと考えている。 さらに、韓国社会福祉学会、日本社会政策学会などにおいて研究成果を発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2014年度においては、日韓両国における実態調査に伴う謝金の支出が必要でなかったたこと、量的分析専用に伴うパソコンなどの購入の必要がなかったこと、などの理由が挙げられる。
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次年度使用額の使用計画 |
2015年度においては、中間的就労に参加する当事者へのインタビュー調査を計画しているため旅費、謝金、研究会への参加、機器の購入などの支出を必要としている。 さらには、社会政策学会など日韓両国において学会での発表を計画しており参加費用も必要である。
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