本研究では、障害者雇用率に代わる障害者雇用の効果評価指標を開発することを目標に研究を進めた。障害者雇用率は、障害者の能力とは無関係な指標であり、雇用側に有利な計算式となっている。この点を念頭に、障害者雇用率とは別の指標の作成を目指した。 効果評価指標を策定するに当たり、働くことを可能とする支援を分析し、就労継続困難性を障害ごとに検討した。これらを検討するに当たり、先行研究の整理の後、障害別に必要だとされる一般的な支援を整理した。その後、静岡県ジョブコーチの支援状況を分析し、必要な支援、配慮の必要な職場環境、コスト計算などを実施した。その後、それぞれの障害者数と就労できる可能性を算出し、モデルに当てはめた。ただし、必要な支援とあると効率性が上がる支援についての区別が難しく、単純化したモデルでは対応できないことが再認識できた。 現在のところ、原案の作成に留まっており、公表できる段階にはない。これは、働きたいと考える障害者に対して、何らかの支援を必要としている場合も多く、どの程度の負担が必要なのかをモデル化できない場合も存在するためである。これらを共同研究者などと再検討した結果、当初のモデルにいくつかの瑕疵があるとの指摘を受け、現在に至っている。 この状況を改善するため、本報告時点では、障害者雇用支援の個別事例の検討を重ねている。具体的には、一般就労している障害者と外部機関の支援状況をまとめ、どの程度の負担が雇用者側にかかるのかを検討している。このため、最終的な公表には、若干の時間を要することとなった。
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