研究課題/領域番号 |
26590130
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
上淵 寿 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (20292998)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 愛着の内的作業モデル / 潜在性 / GNAT |
研究実績の概要 |
本研究の主たる目的は,愛着(アタッチメント)の内的作業モデルを厳密に測定することである。この種の研究は、世界でも数例しかない。そして先行研究にいくつかの問題点があり、こうした先行研究の問題を克服する試みを行った。 本研究の最大の意義は,一旦作られた愛着の内的作業モデルは,多くの場合に無意識的かつ自動的に働く(坂上, 2005)を実証的に確認することである。なぜならば,現在使われている愛着のIWMを測定する指標の多くは,質問紙調査などの顕在的な指標を使用しており,本来無意識的な要素が多くあるはずの愛着の作業モデルを測定できているとは言い難い。ゆえに,潜在的態度を測定するGNAT(Go/No-go Association Task)を利用して内的作業モデルの潜在的、自動的処理部分を測定した。それに対して、従来用いられてきた質問紙による、内的作業モデルの顕在的、意識的処理の部分との比較を行った。そして、内的作業モデルの潜在的部分と顕在的部分が、異なる情報処理を促進することを明らかにした。 具体的には,以下の研究を実施した。1 愛着に関連する語を集め、GNATで使用する単語を選択した。2 研究1と同様の手法で、研究3で使用するポジティブ語・ネガティブ語を選択した。3 愛着からの影響が仮定されているポジティブ・ネガティブ語への、GNATで測定する潜在的愛着(以下、潜在的IWM)の影響を調べる。実験参加者にGNATを実施し、次にポジティブ語とネガティブ語を使った語彙判断課題を実施した。4 「愛着に関連する」ポジティブ語とネガティブ語を収集し、選択した。5 質問紙で測定するIWM(以下、顕在的IWM)と潜在的IWMの影響する情報処理が異なることを検証した。その際に、研究4で選択した「愛着に関連する」ポジティブ語とネガティブ語を使って、語彙判断課題を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成26年度は,潜在的な内的作業モデル(IWM)の測定ツールであるGNATを完成させるまでが目的であった(研究1~4)。 26年度中にそれも完遂できたが,さらに平成27年度に行う予定であった研究5(GNATで測定したIWMと社会的情報処理の関係を調べる)も既に終了し,論文として投稿済みである。 そのため,当初の計画以上に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
研究5の結果,仮説と一致しない結果が得られている。こうした結果についての推測を実証的に検討することを目的として研究を行う。 たとえば次のような推測がなされた。 IWMの一部である,関係不安は意識的・統制的な情報処理をベースにすることから,意識的にネガティブな情報に固執するというその特徴 (Shaver & Mikulincer, 2007) を補うために,一種の防衛機制として,無意識下においては,ネガティブな情報へのアクセスを抑制している可能性が考えられる。 しかし,これは推測に過ぎない。そのため,ネガティブ情報へのアクセスの抑制について,実証的に検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究5の結果,必ずしも仮説と一致しない結果が得られている。こうした結果についての推測を実証的に検討することを目的として研究をするためである。 たとえば IWMの一部である,関係不安は意識的・統制的な情報処理をベースにすることから,意識的にネガティブな情報に固執するというその特徴 (Shaver & Mikulincer, 2007) を補うために,一種の防衛機制として,無意識下においては,ネガティブな情報へのアクセスを抑制している可能性が考えられる。しかし,これは推測に過ぎない。そのため,ネガティブ情報へのアクセスの抑制について,実証的に検討する。
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次年度使用額の使用計画 |
心理学の実験プログラムであるInquisiteを購入し,愛着の内的作業モデルと社会的情報処理との関係について,昨年度で問題として生じた疑問点の解決を図る。 また,上記の実験結果を発表するために,旅費を必要とする。また,本研究は,国際的にも前例のない研究であるので,国際学会でも発表する予定である。
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