研究実績の概要 |
平成26年度は基礎研究として、Walther(1996)の理論の現状を明らかにすることと併せて、大学生の友人関係と電子メディアを用いた対人トラブル生起に関する先行研究レビューを行った。 Walther(1996)の理論の現状としては、オンライン上における自己呈示場面におけるHyper-personal communication仮説の検証が行われている状況であった。これはWalther(1996)における「チャネル要因」に含まれる「コミュニケーション場面の認知」を統制して研究が進められていることを意味すると考えられた。本研究では、コミュニケーション場面としてソーシャルネットサービスのひとつである「LINE」を用いたコミュニケーション場面を設定している。しかし「LINE」を用いたコミュニケーション場面にはさまざまなやりとりが含まれることが想定されることから、場面に関するさらなる条件統制を検討することが望ましいと判断された。 大学生の友人関係と電子メディアを用いた対人トラブル生起に関する先行研究レビューについては、ソーシャルネットワークサービス(SNS)を利用することによって対人関係が悪化することを示唆する先行研究が複数認められた(松尾・安田, 2007; 遠山, 2011; 大沼・木村・佐々木・武川, 2012等)。
また、研究計画策定時点で予定していた「LINEコミュニケーション場面認知」尺度作成に関連して、予備調査を実施するための準備として「LINEコミュニケーションに関する調査」を行った。その結果については、平成27年度に開催される日本心理学会にて発表を予定している。
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