本研究の目的は、適応論的な視点に基づいて対人嫌悪の特徴をさまざまな面から明らかにすることであった。質問紙調査の結果、対人嫌悪の認知的内容として「非共感・回避」「嫌悪対象者の無能化」「存在の否定」の3側面が示唆された。また、対人嫌悪は対象者の回避・排斥を志向させるが、対象者に対する反芻にはつながらないこと、相手が自分と異なる、あるいは相手が自己中心的と認知するほど、援助量が抑制されることが示された。また、「嫌われたくない」という心理は援助量を高めることが明らかとなった。接触回避について、恋愛対象者に対しては男女とも低下するが、この傾向は女性で顕著なことが示された。
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