研究課題/領域番号 |
26590136
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研究機関 | 関西大学 |
研究代表者 |
遠藤 由美 関西大学, 社会学部, 教授 (80213601)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 法的成人を過ぎた子ども / 自立 / 親元 |
研究実績の概要 |
プロジェクト初年度において,まず関係文献を渉猟し,性別,家族構成,居住形態,年齢,就労形態,学歴,文化などが関連要因だろうと推測した。当初,インタビュー調査実施を計画していたが,そこで尋ねる項目をより絞り込むため,まず大学生とその親に質問紙調査をおこなった。とくに,まもなく就職する大学生に自立を強く求める親と逆に同居と望む親の家庭では大学生の自立に対する態度,あるいは職業選択の際に考慮する点(転勤の有無,勤務地など)が異なるかどうかを検討するべく,質問項目を設定した。しかし,調査の結果,大部分の親は子どもの自立に対して明確な態度を示さず(「本人に任せる」の選択が大半),卒業後に自立自活を強く求めるような回答はほとんどなかった。また,就職活動中・内定獲得の大学生も,大半が近畿圏企業志望で,親元を離れる予定・志望はほとんど見られなかった。これについては,「親元を離れたくない」願望がそのような企業志望につながっているのか,あるいは採用を考えると(世界を視野に納めるグローバル企業ではなく)そのような企業志望が現実解となり,結果として「親元に留まる」という帰結になるのか,調査からは判明しなかった。法的成人を過ぎた子どもに対して「本人に任せる」という親の態度の意味するところが,大人としての本人の判断を尊重することにあるのか,あるいはできるだけ長く傍にいてほしいという親の欲求なのか,さらには初任給などを考慮した現実的判断なのか,判明しなかった。調査実施大学に特有の現象か,あるいは日本の大学生に普遍的現象か,あるいは日本の若い世代に普遍化できる現象か,対象を広げより詳細な検討をおこなう必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究実績の概要のところで述べたように,インタービュー調査の項目検討のための予備調査を,対象の大学生の就職活動の進展を待って実施したため,時期が初年度の後半にずれ込んだ。その結果,その年度中に次の調査へ進むことができなかった。また,予想外に,大人が大人であることを自覚的に語ることができないことが判明し,それへの対応策を考えねばならなかった。
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今後の研究の推進方策 |
連携研究者との相談の上,年齢的に大学生よりも上の若い世代を対象に含み,経済界の協力を得て就業している人々と接触する目途を立てている。今年度は,それらの人々を対象に,インタビュー調査とWEB調査を実施するべく,調査内容を確定する作業を進めているところである。
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次年度使用額が生じた理由 |
インタビュー調査のための予備調査を実施した段階で年度が終了したため,インタビュー調査費用は支出されなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
今年度はインタビュー調査とWEB調査の実施を計画しており,予算は適正に使用する予定である。
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