本研究は,大人とはいかなることか,現代の成熟観を探ることを目的として,20歳から44歳までの男女にオンライン調査を実施した。結果から明らかになったことは以下のとおりである。一般に,1人前の大人としての意識は年齢,学歴,収入の高さ,結婚,親同居と関わりがある。年代を問わず約半数が親同居であり,年齢の高い既婚者においてもそれは一定割合おり,家事への関与が低く,自分を大人として同定できないだけでなく,自信,心身の健康,将来展望などに対して一様に負の効果をもたらしている。親同居や未婚の主要理由は経済的理由であり,大人になることの個人の精神的側面だけでなく社会・経済的要因の重要性が示唆される。
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