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2014 年度 実施状況報告書

自閉症スペクトラム障害における認知発達の可塑性―文化比較による検討―

研究課題

研究課題/領域番号 26590141
研究機関東京大学

研究代表者

長谷川 壽一  東京大学, 総合文化研究科, 教授 (30172894)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード自閉症スペクトラム / 社会的認知 / 文化差
研究実績の概要

本研究では、自閉症スペクトラム(ASD)児・者の発達における社会的環境の役割について検討するため、日英間の比較文化研究を行っている。H26年度は日本のASD児・定型発達(TD)児を対象として、眼球運動計測装置を用いて(1)風景や建築物を見ている際、(2)他者の顔を見ている際の注視パターンを記録し、解析を行った。
(1)日本を含む東アジア文化圏のTD成人は、写真などを見るとき背景に注目する傾向があるが、西欧・北米文化圏のTD成人は、写真の中心に写っているモノに注目する傾向がある。実験の結果、日本のASD児とTD児では、画像の中心に写っているモノより背景を長く見る傾向がみられた。これは、東アジア圏のTD成人を対象とした先行研究と同じ傾向であり、ASD児もTD児と同じように、注意の向け方が育った環境(文化)の影響を受けている可能性が示唆された。
(2)他者の顔への注視パターンも、日英によって異なることが研究代表者らの実験心理学的な研究から明らかになっている。実験の結果、ASD児はTD児にくらべて、動画の人物の目の領域を見る時間が短い傾向がみられた。ただし、全体的にASD児も目の領域を見ている割合が目以外の顔のパーツを見ている割合より長く、ASD児・TD児ともに日本のTD成人と同様の傾向だった。
今後は、次年度に収集するイギリスのASD児とTD児のデータと比較することにより、文化の影響を検討し、ASD児者の認知発達における可塑性について定量的な知見が得られることが期待される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成26年度に、東京の自閉症スペクトラム児・定型発達児のデータを収集することができ、次年度にロンドンでも同一の実験を実施して、研究成果をまとめることができるため。

今後の研究の推進方策

平成26年度に東京で実施した実験をロンドンで実施し、両国のデータをもとに論文としてまとめる。

次年度使用額が生じた理由

本研究課題は2年計画で、残り1年間も継続して実験を行うため。また、国際学会等での発表は、日英両国のデータを取得した後に行うため。

次年度使用額の使用計画

継続して行う実験の、実験参加者への謝金や実験に関わる物品費などに使用する予定である。また、国際/国内学会等での発表のため、当該助成金の一部を旅費にあてる予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Absence of Preferential Unconscious Processing of Eye Contact in Adolescents With Autism Spectrum Disorder.2014

    • 著者名/発表者名
      Akechi, H., Stein, T., Senju, A., Kikuchi, Y., Tojo, Y., Osanai, H. and Hasegawa, T.
    • 雑誌名

      Autism Research

      巻: 7 ページ: 590-597

    • DOI

      10.1002/aur.1397

    • 査読あり
  • [学会発表] ASD者におけるアイコンタクトによる心拍数の減少2015

    • 著者名/発表者名
      菊池由葵子・東條吉邦・長内博雄・齋藤慈子・長谷川寿一
    • 学会等名
      第26回日本発達心理学会大会
    • 発表場所
      東京大学(東京都文京区)
    • 年月日
      2015-03-21
  • [学会発表] 自閉スペクトラム症者のボディイメージについて2015

    • 著者名/発表者名
      浅田晃佑・東條吉邦・長内博雄・齋藤慈子・長谷川寿一・熊谷晋一郎
    • 学会等名
      第26回日本発達心理学会大会
    • 発表場所
      東京大学(東京都文京区)
    • 年月日
      2015-03-20

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公開日: 2016-05-27  

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