研究課題/領域番号 |
26590143
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
松井 三枝 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (70209485)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 早産児 / 低体重 / 精神発達 / ベイリー発達検査 / MRI / DTI / 脳形態 / 認知発達 |
研究実績の概要 |
出生後、周産母子センターに入院となった早産児の脳画像および精神発達について、詳細な評価を行ない、両者の関連の検討を行なう。このことによって、脳の発達の途上で出生してくることが精神発達にいかに影響を及ぼす可能性があるのかについて明らかにする。このために、臨床診断のために通常行なわれている脳磁気共鳴画像(Magnetic Resonance Imaging: MRI)と拡散テンソル画像(Diffusion Tensor Imaging:DTI)を撮像し、脳体積と拡散異方性を定量化する。また、ベイリー乳幼児発達検査により、認知、言語、運動および社会・情動発達を詳細に評価し、これらと脳画像の関連性を検討する。 27年度は26年度に引き続き、早産児(出生週数37週未満)について40週に達した時点で頭部MRIおよびDTIの撮像を行ない40例くらいのデータを得ている。27年度は新生児脳画像の解析法の確立に向けての検討を行ない見通しがついてきたところである。1歳半時点と3歳時点で国際的に広く使用されているベイリー乳幼児発達検査を実施してきた。この検査によって、認知、言語(受容、表出)、運動(粗大、微細)および社会・情動(コミュニケーション、家庭生活、遊ぶ、セルフケア、自己の方向付け、社会、運動等)の領域の発達レベルを測定することが可能である。27年度は、早産児のベイリー検査の各指標と在胎日数、出生体重および頭囲との相関を検討した。その結果、1歳半児、3歳児ともに、3つの指標の中で在胎日数の影響が大きい傾向があった。 とくに1歳半児は運動合成得点との相関が中程度で最も大きく、3歳児は社会情動合成得点との相関が中程度で最も大きかった。今後さらに、数を増やして詳細に検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
比較的順調に今のところデータ収集を行ってきている。また、MRI解析の見通しがついてきている。
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今後の研究の推進方策 |
これまで得られた結果を基にして、脳画像検査(MRIとDTI)と発達検査によるデータを引き続き収集する。撮像されたMRIを用いて、全脳、脳梁等の脳体積の測定をすすめる。関心領域の設定法については、27年度までに概ね確立することができたので、今後その方法に沿って解析を進めることにする。さらに、脳溝・脳回の解剖図に則った詳細な分析をおこない、形態学特徴を明らかにする。DTI(拡散テンソル画像)を用いて、主要な交連繊維と連合繊維を同定する。そして、FA, ADC, AD, RDといった拡散異方性に関係する代表的な指標の値を各繊維束で求める。ベイリー乳幼児発達検査については、1歳半と3歳でのデータをさらに収集し、各指標と産科指標も加味しながら詳細な検討を行なっていき、成果を発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
27年度は早産児の脳画像解析のための協力研究者への人件費に主に当てましたが、当初の予定者の都合により、年度後半部で十分にこのことに費やすことがかなわなかった。そのため、次年度この解析のための人件費をさらに投じて研究を進める予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
脳画像解析と発達検査データ解析に多くの時間を要することが予測され、そのための協力研究者を今年度も確保し、人件費に持ち越し分の多くを当てる予定である。さらに、今年度分にも人件費に7-8割、旅費に1-2割、物品・その他1-2割を使用する計画とします。
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