研究実績の概要 |
出生後、周産母子センターに入院となった早産児の脳画像および精神発達について、詳細な評価を行ない、両者の関連の検討を行なう。このことによって、脳の発達の途上で出生してくることが精神発達にいかに影響を及ぼす可能性があるのかについて明らかにする。28年度はこれまで撮像することのできたMRIを用いた解析を行なった。極低出生体重児を対象に、満期相当における頭部MRIによる脳の頭蓋内容積(ICV)、全脳容積(TBV)を測定し、頭囲との関連を検討した。その結果、極低出生体重児においても満期での頭囲はTBV, ICVと有意な正の相関があり、脳体積の簡便で有用な評価ツールであることが確認された。また、SGA(small-for-gestational age)児においても、定量誤差の少ない3DMRIを用いた脳体積計測において頭囲は脳体積と強い正の相関があることがわかった。1歳半時点と3歳時点で国際的に広く使用されているベイリー乳幼児発達検査を実施してきた。ベイリー指標について、出生体重と在胎週数との相関を調べたところ,患児群では運動合成得点で出生体重との相関,認知・運動合成得点で在胎週数との相関が見られた。健常児群では出生体重との相関は全ての合成得点で見られ,在胎週数では認知合成得点以外の2つの合成得点で見られた。極低出生体重児は健常児よりも,出生体重や在胎週数ではその後の発達機能を予測しにくい可能性が示唆された。また、年齢間でベイリー指標の比較したところ,言語領域において1歳半から3歳にかけて得点が上昇することが示され,さらに運動領域では粗大運動において上昇が見られた.このことから各機能で発達経過が異なり,1歳半から3歳の間は特に言語領域と運動領域の粗大運動の発達が特徴であることが示唆された。
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