本研究の目的は,母語や作動記憶の発達が高い段階にある大学生が,文章を一定期間シャドーイングすることにより,言語的コミュニケーション能力と論理力を向上させることが可能かどうかを検討することであった。日本語を母語または第二言語として学習する大学生・大学院生を対象とし,8つの実験を行った。その結果,主に次のことがわかった。(a)シャドーイング練習が文処理スパンを伸ばし,日本語の聴解,発話,読解を促進すること,(b)テキストのシャドーイングと「記憶を伴う視写」の組み合わせが,日本語の作文における言語能力と論理性を促進すること,の2点である。
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