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2014 年度 実施状況報告書

新しい統計手法による性格構造の分析

研究課題

研究課題/領域番号 26590148
研究機関公立はこだて未来大学

研究代表者

花田 光彦  公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (80323385)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワードパーソナリティ / 独立成分分析
研究実績の概要

性格特性語60語を用いて,性格の質問紙調査を実施した.回答者は各性格特性語が自分にどれくらい当てはまるかを7段階で評定した.得られたデータを独立成分分分析によって分析した.従来の因子分析との結果と比較した結果,独立成分分析で抽出された因子は因子分析のものと類似していること,また,それらの因子はビッグファイブ5因子モデルに近いことなどが明らかにされた.性格質問紙データに対する適切な独立成分分析の適用方法を概ね明らかにすることができた.これらの結果を,日本心理学会第78回大会において発表した.
その他に,性格特性語を回答者が自発的に挙げるという記述形式を用いて,有名人に関する性格質問紙を実施した.従来の研究では,あらかじめ質問紙実施者によって性格特性語が用意されるが,その特性語選択過程において,実施者の仮説が入り込み,回答者に影響を与えてしまう可能性があった.しかし,特性語の記述形式ではそのような可能性を排除できる.得られた記述データを対応分析によって分析し,得られた布置を独立成分分析によって回転することによって,性格の次元構造が得られることを示した.この結果は,日本心理学会の次期大会で発表予定である.
また,シミュレーションによっても心理データに独立成分分析を行うことの妥当性を検討した.因子分析においては,回答の順序付きカテゴリー化の効果についてはすでに検討されており,尺度が5段階以上であれば,問題ないことが示されている.シミュレーションにより,尺度が5段階あれば,適切な独立成分分析のアルゴリズムを使用した場合は,独立成分分析においても問題ないことが示された.さらに,回答段階の単調関数による変換は,独立成分分析の前処理として非線形の主成分分析を適用することによって,影響を除くことができることを示した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

実際に収集したデータを用いて,性格質問紙の回答に対して独立成分分析を検討し,適切な適用方法を明らかにした.また,シミュレーションなどにより,その手法を心理データに適用することの妥当性を示した.特に回答が順序付きカテゴリーに変換されたときにも,独立成分分析が適用可能なこと,回答の単調非線形関数による変換を推定し,影響を除くことができることを確認でき,心理データに対し,信号処理・機械学習の手法である独立成分分析を適用する方法を確立できたと考えている.また,尺度形式の性格質問紙だけではなく,性格特性語を回答者が自ら挙げてもらう特性語記述形式の質問紙を実施した.また,そのデータから性格の次元構造を導く方法を検討し,対応分析によって布置を求め,その後独立成分分析によって回転するという手法で,性格の次元構造が得られることを示した.対応分析は古典的手法ではあるが,独立成分分析と組み合わせることにより,新たな知見が得られることを示した.これらのことにより,性格データに対して機械学習・信号処理の手法を適用する方法の確立という目的は,概ね達成できたと考えている.
しかしながら,対応分析+独立成分分析による回転という手法の妥当性については,現在,検討中であり,二年次の課題として残されている.また,行動データへのパターン認識技術を適用し,性格構造を推定するという課題についてはまだ検討段階である.ただし,これらの課題は研究計画段階でも副次的な目的であり,上記の独立成分分析を因子分析に代わって適用するということが主目的であったことを考えると,計画は概ね順調に進んでいると考えられる.

今後の研究の推進方策

性格特性語60語ではなく,500語程度の語彙的研究レベルまで増やして質問紙調査を行い,データを収集する.そのデータに対し,独立成分分析を実施する.因子分析では回転の不定性があるが,独立成分分析にはない.よって,それにより,曖昧性の少ない性格の構造を推定できるものと期待される.
特性語記述形式の質問紙に対する,対応分析の適応方法についてさらに検討する.特に,対応分析で得られた布置に対して独立成分分析による回転を適用することの妥当性について,シミュレーションなどにより検討する.また,有名人の性格に関して特性語記述形式の質問紙を実施したが,性語記述形式の質問紙を実施する方法をもう少し検討し,記述形式のデータにおいても,尺度評定方式によって得られた性格構造が得られるのかをさらに深く検討する.これにより,ビッグファイルなど従来因子分析で得られてきた性格構造が記述形式のデータにおいても得られるのかを明らかにする.
また,上記の分析に用いられた手法をmatlabのツールボックスなどにまとめ,公開できるようにする.さらに,質問紙のデータではなく,行動データを用いて,人の行動におけるパターンを機械学習におけるパターン認識の技術を使って見つける手法を検討し,性格の構造を推定する方法について検討していく.

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 独立成分分析による性格構造の分析2014

    • 著者名/発表者名
      花田光彦
    • 学会等名
      日本心理学会第78回大会
    • 発表場所
      同志社大学今出川キャンパス(京都府京都市)
    • 年月日
      2014-09-10 – 2014-09-10

URL: 

公開日: 2016-05-27  

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