研究課題/領域番号 |
26590149
|
研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
岡本 真彦 大阪府立大学, 人間社会学部, 教授 (40254445)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
キーワード | モニタリング / メタ認知 / 非意識 / エラー検出 |
研究実績の概要 |
潜在的モニタリングのプロセスを取り出すために、計算課題中に誤った式を見せて、潜在的モニタリングが自動的にエラーを検出するのかどうかを調べた。結果、繰り上がりのない問題では、誤った式を見ることで反応時間が遅延し、繰り上がりのある問題では、式の正誤の効果は見られなかった。このことから、繰り上がりのない問題においては、計算遂行中に目にした等式の誤りが自動的に検出されたものと考えられる。繰り上がりのある試行で式の正誤の影響が見られなかった事については2つの可能性が考えられる。1つは、繰り上がりのある計算では繰り上がりのない計算に比べて認知負荷が高いため、潜在的モニタリングを駆動させるための資源の余裕がなかったという可能性である。この場合、繰り上がりありの問題では潜在的モニタリングは働いていなかったと考えられる。もう1つの可能性は、繰り上がり計算においては式の正誤にかかわらず常に意識的モニタリングが働いていたというものである。この場合は、繰り上がりの有無×式の正誤の4 水準の中で、繰り上がりがなく式が正しい条件以外では潜在的にせよ意識的にせよモニタリング行われていたため、繰り上がりがなく式が正しい条件でのみ反応時間が短くなったと考えられる。本稿の分析から、この二つの可能性を検証する事はできないが、アイトラッカーから得られたデータを分析することで検証できると思われる。近年、視線情報は人間のメタ認知活動の指標として扱われており(Paulus&Proust,2013)、本課題でも視線の動きや注視時間の変化でモニタリングの生起を検出できるかもしれない。また、視線情報を分析することで、意識的なモニタリングと非意識的なモニタリングの質的な違いを取り出せることも期待できるだろう。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では、これまでメタ認知研究にはほとんど用いられてこなかった眼球運動計測装置を用いて、分析に取り組んでいる。そこで、眼球運動計測装置の実験状況へのフィッティング及びデータ解析に解消べき壁があったことによって、検討が遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度の研究によって、実験プログラム及び分析プログラムのひな形を作成することができたので、本年度は、研究を着実に進めることができるであろう。
|
次年度使用額が生じた理由 |
眼球運動計測装置を実験状況にフィッティングさせる作業に手間取ったために、予定より研究がやや遅れているため。
|
次年度使用額の使用計画 |
予定していた研究を遂行するための、実験補助者の雇用に充てる予定である。
|