軽度の発達の遅れ(DQ=85)を伴う自閉スペクトラム症の男児を対象に幼稚園年長から小学校3年時にわたり、対象児の経験と関連する限定的な文脈のもとでのみ理解可能な言語行動に関して、縦断的な自然観察を行った。 その結果、当初は、アニメやゲームのキャラクターのセリフをそのまま用いた発話が多く、対象児のことをよく知らない人には通じにくかった。小学校入学後、読み書き能力の向上による語彙の増加とともに発話は柔軟になってきた。一方、弱いこだわり行動や理解されにくい発話(アニメの中のセリフなど)は継続している。また、アニメのキャラクターになりきっての一人でのごっこ遊びは継続している。
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