研究課題/領域番号 |
26590152
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研究機関 | 鶴見大学短期大学部 |
研究代表者 |
斎藤 晃 鶴見大学短期大学部, 保育科, 准教授 (10225691)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | DNA多型・メチル化 / アタッチメント / 早産児 |
研究実績の概要 |
先行研究においては,ドーパミン受容体遺伝子(DRD4)多型とセロトニントランスポーター遺伝子(5-HTTLPR)多型のある特定の反復回数がリスク因子と仮定され,アタッチメントD群との関連性ありという報告と関連性なしという報告があり,結果は相反している。また,成人の未解決・トラウマ度合は5-HTTLPRのメチル化と関連ありと報告されており,アタッチメント形成要因・予後を追及する際にDNAメチル化異常の測定が有効であることを示唆している。 本研究はDNA多型とDNAメチル化の両者を解析することによって先行研究間の矛盾を解決しようとする試みである。本研究では唾液からDNAを抽出した。唾液採取は非侵襲的であり,簡便である。現在,協力者全員のDNAメチル化の解析が終了し,多型解析が間もなく終了する予定である。 また,以下の生理的指標と面接・アンケート指標に関しては全協力者の半数を終了した。残りの半数は平成27年度中に終了する予定である。生理的指標としてビデオ注視中における心拍・脳波測定を行った。心拍に対してはAR自己回帰分析を行い,交感神経に対する副交感神経の優位性を分析した。脳波に関してはFFT分析を行い,前頭前野におけるパワー値の非対称性を分析した。また,アタッチメント表象物語評定(NAAR)を使用してアタッチメントの内的表象を測定した。子どもの行動チェックリスト(CBCL)を使用して母親に協力者の行動を評定していただき,協力者本人にはCBCLの自己評価版であるユースセルフレポート(YSR)を使用して自分の行動に関して自己評価していただいた。また,認知発達の指標としてWisc-Ⅳを施行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初,口腔内粘膜を採取してDNAの抽出を行う予定であった。しかし試験的な口腔内粘膜採取において,解析に必要なDNA量を抽出できず,唾液からのDNA抽出に切り替えた。また,協力者全員からの唾液回収に予定以上の時間を要したため,DNA抽出・解析の開始が遅延してしまったことが主たる原因でDNA解析が完了していない。DNAメチル化解析は完了したが,DNA多型解析が未完了である。 平成26年度において,協力者の半数に対して生理的指標の測定,面接調査等を計画通り遂行できた。平成27年度において,残り半数の協力者に対して生理的指標の測定,面接調査等を計画通り遂行する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度前半においてDNA解析の全てを完了し,アタッチメント・パターンとの関連性を検討して専門誌に投稿する予定である。 平成27年度中に残り半数の協力者に対して心拍・脳波の測定・分析,NAAR,CBCL,YSRに関する評定,及びWisc-Ⅳの施行を完了する。最終的に全分析結果が整った時点でDNA多型・メチル化,心拍・脳波結果,NAAR,CBCL,YSRに関する評定結果,Wisc-Ⅳ,アタッチメント・パターンとの関連性を検討する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
全協力者からの唾液採取に予定以上の時間を要したために,解析業者によるDNA抽出・解析の開始が遅延した。そのため,解析業者によるDNA解析が完了せず,未使用額が発生してしまった。
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次年度使用額の使用計画 |
解析業者によるDNA解析を平成27年度前半に完了し,解析業者に対し未支払代金を支払う予定である。また平成27年度請求分の直接経費は計画通り,残り半数の研究協力者に対して行う心拍・脳波測定,NAAR,CBCL,YSR評定,Wisc-Ⅳのための謝金,データ整理・分析に対する謝金,及び通信費として使用する予定である。
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