研究課題/領域番号 |
26590153
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
堀 匡 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 助教 (70512565)
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研究分担者 |
齋藤 未紀子 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 助手 (20622062)
佐藤 静香 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 助手 (30344641)
池田 忠義 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 准教授 (70333763)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 学生相談 / 東日本大震災 / 被災地ボランティア参加学生 / 心理的支援 |
研究実績の概要 |
平成26年度は,全国の様々な大学の学生相談機関における,東日本大震災後の被災地でのボランティア活動に参加する大学生への心理的支援実施状況を調査した。専任の学生相談担当者が配置されている124校を対象に郵送法による質問紙調査を行い,62校(国公立26校,私立36校)から回答が得られた(回収率50.0%)。集計の結果,東日本大震災発生から1年以内では,20校(回答校の32.3%)の学生相談機関において何らかの心理的支援が実施されていた。また,東日本大震災発生から2年目以降においては,10校(回答校の16.1%)で支援活動が継続されていた。これらのことから,被災地でのボランティア参加学生への心理的支援は,全国の学生相談機関において一定数実施されているものの,まだまだ多いとは言えない状況にあることが明らかとなった。しかし,一部では,積極的かつ継続して支援活動を実施している相談機関が存在することが確認された。 他にも,学生相談担当者が,大規模災害発生後に被災地でのボランティア活動に参加する学生がどのような問題に直面することを危惧し,どのような支援を必要と考えているかについても調べた。分析の結果,災害直後において,被災地でのボランティア活動の体験からくる心身への直接的な悪影響が強く危惧されていた。一方,ボランティアと学業との両立の困難さや,学生間及び地域の方とのトラブルなどの間接的な悪影響については,必ずしも強く危惧されているわけではないことが明らかとなった。支援の必要性については,相談対応,事前事後教育,教育啓発に関して高く評価されており,これらは,東日本大震災後の支援実施校で実施される割合が高かった支援内容とほぼ同じものであった。このことから,災害後のボランティア参加学生に対する心理的支援の在り方については,学生相談担当者間である程度の共通認識が持たれていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成26年度は,以下の2つの研究実施を計画していた。 ①全国の学生相談機関における,被災地ボランティア参加学生への心理的支援実施状況調査 ②①の調査結果に基づき選出した先進的な取り組みを行っている大学への訪問調査 しかしながら,質問紙調査の実施と訪問対象校の選出に留まり,訪問調査の実施にまでは至らなかった。質問紙調査の実施および調査紙の回収に当初の予定以上に時間がかかってしまったことが原因と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度は,平成26年度内に実施できなかった訪問調査を速やかに実施するとともに,東日本大震災後の被災地でのボランティア経験のある学生を対象とする調査(研究3)や,学生の被災地派遣に関わるコーディネーター及び被災地で実際にボランティアに携わる方を対象とした意見収集(研究4)を行っていく予定である。なお,平成27年度から分担研究者1名が退職により資格を失効することが事前に判明していたため,研究3,4については,平成26年度から前倒しで開始している。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度内に実施予定であった訪問調査が実施に至らなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度内に,当初の研究計画と合わせて,訪問調査を実施する予定である。
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