研究課題/領域番号 |
26590153
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
堀 匡 中部大学, 人文学部, 講師 (70512565)
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研究分担者 |
齋藤 未紀子 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 助手 (20622062) [辞退]
佐藤 静香 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 助手 (30344641)
池田 忠義 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 教授 (70333763)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 学生相談 / 東日本大震災 / 災害ボランティア参加学生 / 心理的支援 |
研究実績の概要 |
平成27年度は,東日本大震災後に被災地でのボランティア活動経験のある学生を対象とする調査(研究3)を実施した。東日本大震災の被害が大きかった東北地方のA県にあるB大学に所属する大学生161名,および震災の被害をほとんど受けなかった東海地方のC県にあるD大学に所属する大学生66名を対象に質問紙調査を行った。調査内容は,①大規模災害発生後に被災地でのボランティア活動に参加する際の危惧,②大規模災害発生後に被災地でのボランティア活動に参加する際に大学に求める心理的支援の2点であった。震災後に被災地でのボランティア経験のある学生を「ボランティア群(26名)」,ボランティア経験のないB大学所属の学生を「被災圏内群(110名)」,被災地域から遠方のD大学の学生を「被災圏外群(62名)」とし,各項目について比較した。 その結果,①被災地でのボランティア活動に参加する際の危惧において,被災圏内の学生は「住民とのトラブル」という間接的な影響を被ることを最も危惧していることが示された。一方,被災圏外の学生は,災害直後の現場における直接的な体験の影響(「悲惨な現場体験による心身の不調」など)を最も危惧していることが明らかとなった。 また,②学生が大学に求める心理的支援に関しては,「心理相談」や「トラブル相談」のような個別支援,「ボランティア活動に関する事前教育」に加えて,災害直後では「ボランティア帰還後のフォローアップ」が強く求められていた。このことは,特にボランティア群の学生において顕著であった。また,ボランティア未経験学生や被災圏外から参加する学生においては,ボランティアの心構えや注意点などに関する「マニュアルの配布」が必要な支援として高く評価されていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度は,被災地でのボランティア活動参加学生に対する心理的支援について先進的な取り組みを行っている大学への訪問調査(研究2)と,学生のボランティア派遣に関わるコーディネータおよび被災地で実際にボランティアに携わる方を対象とした意見収集(研究4)に関するデータ収集を行った。当初の予定では,データの分析と結果のまとめまで行う予定であったが,調査協力依頼や調査実施日程の調整に予想以上に時間がかかってしまったため,年度内にデータの分析にまでは至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は,研究2および研究4について,集めたデータを速やかに分析し,結果をまとめる。また,これまでの研究結果をまとめて,学生相談における災害ボランティア参加学生を対象とした心理的支援モデルについて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度内にデータ収集を行ったインタビュー調査にかかる旅費が当初の予定よりも少額で実施できたため。また,平成27年度内にインタビュー調査のデータをすべて逐語記録化し,分析を行う予定であったが,データ収集に予定以上に時間がかかり,データの一部しか逐語記録を作成できなかった。そのため,逐語記録作成に関わる物品費や謝金を繰り越すこととなった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度は,当初の研究計画と合わせて,収集したインタビュー調査のデータ分析を行う。インタビュー調査のデータ分析のために,繰り越した額を使用することとした。
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