1.アタッチメント・ネットワークの構成員としてのペット 青年期のアタッチメント・ネットワークの構成員としてのペットの機能を明らかにするために、大学生319名を対象に、アタッチメント・スタイル尺度(ECR-R日本語版),友人、恋愛対象、ペットに対するアタッチメント機能尺度(分離苦痛,安全な避難所,近接の維持,安心の基地)等からなる質問紙調査を行った。 (1)アタッチメント機能尺度の因子構造 ①友人(n=312): 1~4因子モデルをそれぞれ仮定した確認的因子分析を行った結果,1つの高次因子(アタッチメント)が4因子によって説明されるモデルが最も適合度が高かった。②恋愛対象(n=171):いずれのモデルも十分な適合度は得られなかったが,友人と同様に高次因子モデルが最も適合度が高かった。 ③ペット(n=96):いずれのモデルも十分な適合度は得られなかったが,高次因子を置かない4因子モデルが最も適合度が高かった。恋愛対象とペットについてはサンプルが少ないため,今後データを蓄積しモデルを確認する必要がある。(2)アタッチメント・スタイルとの相関 ECR-Rの見捨てられ不安および親密性の回避とアタッチメント機能の各下位尺度との相関を検討した結果、見捨てられ不安は有意な正の相関、親身性の回避は有意な負の相関を、それぞれ友人および恋愛対象のアタッチメント機能下位尺度との間に示した。一方、ペットのアタッチメント機能との間には相関はなく、内的作業モデルが動物との関係に反映されにくいことが示唆された。 2.ストレス課題時の生理変化に及ぼすペットの存在の影響 ペットがそばにいる条件といない条件でストレス課題(計算課題)を行い、心拍変動および唾液アミラーゼを測定する実験を継続している。
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