研究課題/領域番号 |
26590155
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研究機関 | 筑波技術大学 |
研究代表者 |
小林 和彦 筑波技術大学, 保健科学部, 准教授 (60310190)
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研究分担者 |
辻下 守弘 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 教授 (80280197)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | パイロットスタディ / 行動療法研究誌 / 指導プログラムの修正 / 研究の説明及び依頼 / 職員研修会 |
研究実績の概要 |
1.本研究課題の実現性を確認するため、研究対象の介護職員に指導プログラムを試行する前段階として、研究対象施設以外の介護老人施設にて事前研究(パイロットスタディ)を実施した。その概要は、「行動分析学の視点から理論および介助の方法論を解説したパソコン上で作動する教材を貸与し、介護職員3名に自己学習を行ってもらい、施設入所者に対するベッドから車椅子への移乗介助技能への効果を単一事例実験計画法を用いて検証した。その結果、3名とも適切な介助の頻度が増加(平均46.2%)し、彼らが日頃介助している入所者も、より少ない介助で移乗が行えるようになった。また、移乗介助指導の効果が同じ入所者の脱衣介助に反映されることも確認された。さらに、指導プログラムの内容や意義に関しても比較的良好な受け入れや評価が得られた。以上のことから、従来の指導方法によるデメリットを補完する役割を果たすことができ、本教材が介護職員指導における効果的な方法論として位置づけられる可能性が示唆されたが、対象の選択および追跡調査の問題、操作性や内容等に関する課題も残された」というものである。そして、その研究成果を学術誌(行動療法研究誌)に投稿した結果、受理された(平成28年5月号に掲載予定)。 2.以上の研究結果及び今後における課題をもとに、指導プログラムの修正及び改良を行った。 3.事前研究により良好な結果が得られ、本研究課題遂行に特に大きな問題はなく、データ収集に支障がないとの共通認識を共同研究者に得られたことから、事前に想定していた2カ所の高齢者施設に出向き、本研究課題の趣旨・目的、その他詳細について施設長および幹部職員に説明を行い、正式に研究依頼を行った。 4.上記施設における職員研修会の名目で、施設に勤務する介護職員を中心とするほぼ全員の職員に対し、研究の意義、目的、方法等に関する説明を約90分間実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
交付申請書に記載した研究計画では、平成27年度中に本研究課題のデータ収集および収集データの処理までを行う予定であったが、現時点では、その前段階までとなっている。 その主な理由としては、パイロット研究実施期間中において、対象介護者の一人が退職してしまったため、中途において一からのやり直しを余儀なくされたことがあげられる。 また、もう一つの理由としては、平成27年度末における研究代表者の研究課題実施施設の退職と他施設への再就職という事態があったこともあり、主に、これら2つの事由が研究課題遂行を遅延させたものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
現時点での大幅な遅れを取り戻すべく、データ収集およびその処理を早急に行う予定である。ただし、データ収集を担当している共同研究者の所属およびデータ収集施設が関西(研究代表者の住居および所属施設は関東)であるため相互交流やデータ収集の実態把握が困難となることも予想される。そのため、場合によってはデータ収集施設の再検討を余儀なくされる可能性がある。そのような場合、研究方法の見直しや、研究遂行上において大幅な遅延を招くことも視野に入れておかなくてはならない。 今後においては、上記のような場合も想定し、代替施設の確保や研究方法の代案等も検討しておく必要があると考えられる。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画の遅れにより人件費・謝金が未使用であったことが、次年度使用額が生じた理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度については、物品費600,000、旅費100,000、人件費・謝金500,000、その他0、計1,200,000を請求しているが、「研究を遂行する上での課題等」で記載したように、データ収集のための旅費が大幅に増加する見込みであることから、「次年度使用額」を補完費用として充当する予定である。
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